オテンバが夢中で駆け出す点呼前――55[守]開講

2025/05/13(火)12:00
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 オテンバが点呼を待たずに飛び出した。


 2025年5月12日12時。55[守]の18教室に田中優子学長からのメッセージが届いた。石田利枝子師範代がすかさず先陣を切り、斜線オテンバ教室に登場する。学林局の開講案内に先んじ、ナナメにカットイン。そのオテンバぶりに早くも教室の「らしさ」が漲る。

 

 石田の突出も当然だ。55[守]師範代はゴールデンウィーク前から用意を尽くしてきている。じっくりと田起こしをし、水を張って念入りに代掻きをするように教室のしつらえを整えてきた。学衆を教室でもてなす準備は万端だ。

 

 守学衆も負けてはいない。12時20分に山派レオモード教室のH、3分後にはゴリ夢中教室のWと続々と勧学会に声が届く。55[守]初回答が届いたのもゴリ夢中教室だ。出題から32分という学衆Nの驚速ぶりに、本日休みをとって万全を期した菅井明子師範代さえ舌をまく。

 

 百禁タイムズ教室では学衆同士の共読が早くも芽生え、彩回答まで届いた。回答の目安の数を見逃したという呟きを拾い、自分もと学衆Sが届けた追加回答に画面の向こうの山下雅弘師範代もニンマリしているはずだ。

 

 開講から12時間に繰り広げられた師範代と学衆の応答は400を超えた。夢中は日付が変わっても止まらない。畝に稲が並ぶようにエディットカフェ上では師範代と学衆の交わし合いが連なる。55[守]の春はこれからだ。実りの秋に向け、師範代たちの眠らない夜が始まる。

 

アイキャッチ・文/佐藤健太郎(55[守]師範)

  • 佐藤健太郎

    編集的先達:エリック・ホッファー。キャリアコンサルタントかつ観光系専門学校の講師。文系だがザンビアで理科を教えた経歴の持ち主で、毎日カレーを食べたいという偏食家。堀田幸義師範とは名コンビと言われ、趣味のマラソンをテーマに編集ワークを開催した。通称は「サトケン」。

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コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg