56守で初登板される皆さまへキワメツキのサカイメ画像を。羽化が迫り、翅の模様が透けて見えてきたツマベニチョウのさなぎ。側面に並ぶ赤いハートマークが、学衆さんたちとの激しく暖かな交換を約束しております。
「やっと皆さんに本楼でお会いできました」
イシス編集学校第86回感門之盟、守の卒門式で、鈴木康代学匠から言葉と同時に喜びがこぼれ出た。54守の汁講は本楼開催がなかったため、学衆たちが本楼を訪れるのは感門のこの日が初めてなのだ。
数日前から今朝にかけて、エディットカフェのラウンジは本楼に向けた発言で溢れかえっていたという。──上京します! 何を着ていこう? 飛行機に乗りました! その様子はさながら、日本中に散らばった学衆というピース(断片)が、本楼という、イシスすなわち故・松岡正剛校長のトポスに引きよせられ、集まって渦となり、つながってネットワーク化していく、編集のカタチそのものだったといっていい。
ハレの日の装いに着物を選んだ鈴木学匠。ふだんと違う姿にハッとした学衆も多かったのでは。学匠自身、学衆時代に松岡校長の着物姿にハッとして「イシスはやっぱり違う」と思ったのだとか
学匠は、守の講座全体に目を配り、稽古が発展的なものになるよう運営する役割を担う。学匠歴が実に8年の鈴木学匠をして「とにかく学衆の勢いが凄かった!」と言わしめたのが、54守。そのエネルギーが、番ボーやミメロギア、特別講義といった稽古の節目を通して語られていく。
この振り返りはやがて、感門之盟の冒頭、「関係づけることが編集である」と断じた田中学長のスピーチに呼応した。「稽古を通じて私たちは、一見関係のない情報、教室、私たち自身というものの間に、編集のチカラでさまざまな関係線を引いてきました」。それをさらに社会に広げていく。社会にまだない関係線を発見していく。「そのために編集をずっと続けてほしい。それを伝えていくのが感門之盟、門を感じるということなのです」
学長と学匠が語ったその思い、それは、今ここに姿こそ「ない」が、面影として「ある」松岡校長の思いでもある。
「1年前の感門之盟ではここ(本楼)に校長がいて、病身をおして3日に及ぶリハサールに立ち会い、細部にわたるディレクションを尽くしていました」
鈴木学匠は千夜千冊1589夜の『書店の棚、本の気配』を引いて話す。「校長は、読書というものは思索と感情が混ざるもので表には見えにくい。しかし、書棚の並びで本の気配はわかると言っています」
結びでは、言葉と同時に熱が溢れた。「本楼は、校長の頭の中が外部化した空間です。この本楼という場所で校長の気配を感じ、編集稽古をやり抜いたお互いを讃えあいましょう」
松岡校長の面影が宿る本楼空間。鈴木学匠はその壇上に、「158名の学衆と20人の師範代たちから受けたものを返したい」という思いで上がったという
(文:今井早智 写真:福井千裕、上杉公志)
今井早智
編集的先達:フェデリコ・フェリーニ。
職もない、ユニークな経歴もない、熱く語れることもないとは本人の弁だが、その隙だらけの抜け作な感じは人をついつい懐かせる。現役時代はライターで、今も人の話を聞くのが好き。
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