【受付開始】10/30〜輪読座「三浦梅園『玄語』を読む」情報公開&申込受付中!

2022/10/21(金)19:00
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10月30日(日)より輪読座 日本哲学シリーズが開座する。この秋のテーマは「三浦梅園『玄語』を読む」に決定し、情報公開とともに受付がはじまっている。
 
輪読座では、これまで古事記・日本書紀、万葉集、空海、世阿弥、西田幾太郎、折口信夫、井筒俊彦、南方熊楠など、多くの日本の古典の原書を読破してきた。三浦梅園をとりあげるのは、『価原』につづいて2度目となる。
 
 

●三浦梅園——あらゆる学を修めた江戸の逸材

 
三浦梅園は1723年に生まれた。江戸中期の享保8年、江戸幕府の中興の祖と呼ばれた徳川吉宗の時代である。
 
梅園はすでに13歳で『和漢朗詠集』を筆写した。また多読家でもあった。22歳から綴りはじめた『浦子手記』には、四書五経や老子や荘子などの古代中国思想はもちろん、道教、自然哲学、朱子学、さらに天文学まで、ありとあらゆる分野の読書記録が残されている。思想家であり、自然哲学者であり、言語哲学者であった(ちなにに本職は医者だった)。
 
また、経済学者でもあった。梅園が著した経世論『価原』は、明治末期に河上肇らが「近代経済学を予告していた」と高く評価した。『価原』が著された年(1773年頃とされる)が、マルクスの『資本論』を100年近く先取りしていることからも、梅園の先駆性には驚くべきものがある(マルクスが『資本論』を書いたのは1867年)。
 
 

●『玄語』——世界や宇宙の成り立ちを解明する“反観合一の条理学

 

その三浦梅園を代表する著作が、今回の輪読座で取りあげる『玄語』である。『玄語』は「条理学」とも呼ばれるきわめてユニークな一冊。梅園自身によって『贅語』『敢語』とあわせて、『梅園三語』と命名された。
 
『玄語』の「玄」は、古代中国で非常に重視されていた概念である。天の四方の方角を司る四神うち、北方に想定された「玄武」の「玄」と関係が深い。玄武の司る北は、北極星すなわち天の中心を指す方角であり、中国で物事や現象の究極をあらわす「太極」を意味する。ここから派生して、思想や世界観の最も深まった学問を「玄学」と呼ぶようになった。
 
『玄語』とは、まさに三浦梅園が生涯をかけて思想を重ねてきた「玄学」といえるだろう。なんといっても、『玄語』は「世界や宇宙を形成する言語」として構想され、梅園によって23年にわたり23回も書きなおしつづけられたのである。
 
梅園は『玄語』の中で「反観合一」という方法を提示している。これはあらゆる情報の基本単位を「一、一」という一対で捉える見方である。梅園は、全現象の最初の一対が「一」と「一」に分かれ、そこから世界が発生していったと見る。それがさらに組み合わされていく中で色や形、性質が別れていくと考えた。
 
こうした世界を形成する情報の関係や組み合わせを、梅園はいくつもの格別な条理学図によって示した。この梅園の条理学図について、イシス編集学校校長の松岡正剛は『知の編集工学』単行本のなかで「わが国屈指のコノテーション構造の試みだ」と絶賛している。
 

 

●輪読座——予習は禁止、無知ほど学びが深まる輪読システム

 

この秋からはじまる輪読座では、この玄語図を網羅した文献を用意し、輪読師 高橋秀元(バジラ高橋)が独自に解読した図象を使いながら読み解いていく。『玄語』を取り扱うのは今回限りとなる。
 
なお、「輪読座」には他ではみられない学びのルールがいくつもある。その一つが「無知歓迎」。与えられた受け身な知識は時として自由な思考を妨げる。無知であるとは一つの見方にとらわれず柔軟であるということ。輪読座では既存の知識を前提にするのではなく、あくまでも『玄語』を通じて三浦梅園の見方にまねぶことが歓迎されている。
 
また、受講条件も不問。イシス編集学校を未受講の方から輪読座の初期からの受講者まで多様な方が集うのが輪読座の特徴でもある。またコロナ以降からリモート開催となり、全国各地から参加が可能となった。
 
読書の秋、芸術の秋、輪読の秋。初めての人こそ、この輪読の学びを体験いただきたい。

 


 

日本哲学シリーズ 「三浦梅園『玄語』を読む」

 

【日程】

・2022年10月30日(日)
・2022年11月27日(日)
・2022年12月25日(日)
・2023年1月29日(日)
・2023年2月26日(日)
・2023年3月26日(日)

 ※毎月最終日曜日に開催

 ※全日程:13:00〜18:00

 

【受講資格】どなたでもお申込いただけます(イシス編集学校講座未受講の方もご参加可能です)

 

【参加方法】オンライン(Zoom)

 ※当日ご参加いただけない方向けに、開催後に講義動画を共有いたします。

 

【詳細・申込】以下のURLをご覧ください(イシス編集学校のウェブサイトへリンクします)

https://es.isis.ne.jp/course/rindokuza


  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。