「杉浦康平を読む」に決定! 多読SP第6弾【先着30名】

2025/05/13(火)09:00
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 多読スペシャル第6弾が「杉浦康平を読む」に決まった。

杉浦康平さんといえば、若かりし松岡正剛校長がぜひとも「入門したい」「師にしたい」と切望した人物だ。千夜千冊981夜『かたち誕生』では次のように語っている。

杉浦康平は…ぼくにとっては極上の師にあたる。とっておきの人で、途方もなくかけがえのない人である。

 今回の多読スペシャルは、昨年8月に松岡校長が亡くなってから、最初の開催になる。また、プログラム受講期間の終了直後には校長の一周忌を迎える。

 そこでできるなら、校長を偲ぶとともに、校長の方法をあらためて深く広く探求する企画を組み立てたい。そう考えたとき、「次はこの人しかいない」となった。

 やっぱり、杉浦康平さんだ。なんといっても、校長にとって「極上の師」。そして「とっておきの人で、途方もなくかけがえのない人である」。

杉浦康平『かたち誕生』を含む「万物照応劇場」シリーズ 全5巻

 

 杉浦さんと松岡校長の特別な関係を背景にして、今ここにイシス編集学校にしかできない杉浦康平講座が爆誕しつつある。もちろん、テーマはデザインに限らない。アジア、知覚、仏教、宇宙、文字、かたち、書物、身体…あらゆるジャンルを横断する。

まさに杉浦さんは…デザインのすべての可能性を変えてしまった人だった。こんな人は二度と出てこないにちがいない。

杉浦さん…その人がデザイン論の述語であり、杉浦さん…その人が新たな文化人類学の対象になっていいほどなのだ。

耳を澄ます人、目を凝らす人、手を尽くす人。それが杉浦康平…だった。

 ちなみに2011年に武蔵野美術大学で開催された「杉浦康平・脈動する本:デザインの手法と哲学展」では《静寂なる脈動》《ゆらぎ、うつろう》《声を放つ文字》《脈動する本》《ノイズから生まれる》《本の地層学》《一即二即多即一》《アジアンデザイン》をヘッドラインに掲げた(なお、展覧会の図録に校長は「わが宿は四角な影を窓の月——杉浦康平に贈るBASHOたち」というエッセイを寄稿)。

[連塾]ブックパーティスパイラル巻② 本が語り、人が集う。 2011年5月28日

 

 編集学校は「杉浦康平を読む」ための独自のアーカイヴも充実している。いまや伝説となっている雑誌『遊』、『全宇宙誌』、『ヴィジュアル・コミュニケーション』など杉浦康平×松岡正剛(以下「”SM”」)のコラボレーション作品はもちろん、二人の対談や講義の貴重映像など、それらの教材を入手するだけでも受講の価値があると言っていいほどだ。

 

 それだけではない。『遊』時代から”SM”を凝視し続けてきた木村久美子月匠がプログラム・ディレクターを務めている。また、”SM”デザイン学の系譜の末裔たる穂積晴明が講座開発の番頭役を買ってでた。大音冊匠ひきいる冊師チーム(浅羽登志也・野嶋真帆・吉野陽子・渡曾眞澄)も”SM”研究会を立ち上げて、鉄壁の布陣をしく。

 プログラムの詳細はエディストにておって続報。先着30名、定員になり次第、締切です。

上:objet magazine『遊』 創刊号/8号「叛文学非文学」/9号・10号「存在と精神の系譜」

下:objet magazine『遊』 1001「相似律」/1002「呼吸・歌謡曲」/1003「店の問題・幻想人工都市」/1004「タオの世界・北斗七星」

 

 

Info 多読スペシャルコース 第6回「杉浦康平を読む」


【受講期間】2025年6月28日(土)~8月10日(日)<6週間>

      「オープニング・セッション」6/28(土)

      *オンライン参加可

【受講資格】イシス編集学校 [破]応用コース修了者

【定員】30名 *定員になり次第、締め切りになります。

【受講料】99,000円(税込)

【お申込み】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_sp2025

 

【続報】多読スペシャル第6弾「杉浦康平を読む」3つの”チラ見せ” 

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:宮崎滔天
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg