草むらで翅を響かせるマツムシ。東京都日野市にて。
「チン・チロリン」の虫の音は、「当日は私たちのことにも触れてくださいね」との呼びかけにも聴こえるし、「もうすぐ締め切り!」とのアラートにも聞こえてくる。

第2回創守座の特徴は、なんと言っても学衆のオブザーブだ。指導陣が一堂に会する場を、半分、外に開いていくというこの仕組み。第1回の創守座が師範代に「なる」場だとすると、この回では師範代になることを「見せる」場にもなる。オンラインで参加した学衆はその場をどう見たのだろうか。
最初の発言は13時40分だった。
お題に対して、「これって正解はあるのかな?」とか考え始めると、俺面白くないな~
と思ってしまう自分の感覚を大事にしていきたいです
指導陣が次々「いいね」を連打、背中を押した。
こうして、チャットではオブザーブ学衆と、見守る指導陣との間でのやりとりが花開くこととなった。
対話。せっかくご縁のあった教室の仲間なので、自分の回答をするついでに、他の学衆さんの回答の気になったり、いいなぁと思ったことを書いたりしています。ただ、他の学衆さんの回答に直接反応しすぎると、メール受信箱とか大変なことになってしまう??と遠慮してしまうような自分もいます。
という声には、指導陣が「自由にお声がけしてかまわない」「あと3倍、いや5倍やっていただいても全然大丈夫です」とコメントした。それを受けた学衆は「では、5倍いきます」と力こぶのアイコンつきで返信した。
この教室はこれから、どれほど共読が進んでいくのだろう。55[守]の15週間、遠慮は無用。おおいに他の学衆の回答を学び、方法をまねて、自分の引き出しを豊かにしていってほしい。
師範代よりもお得?!
創守座の3つ目のプログラムは堀江敏幸『回送電車』を使った文体練習の指南ワークだ。師範代が取り組み始めると石黒好美番匠が「学衆のみなさんもよかったらやってみてください」と声をかけた。
わずか2分弱後。最初の回答として、お題文から抜き出したキーワードが届いた。
続いて、お題文を一行にまとめた文も届き始める。
踏切は、行く手を無慈悲にさえぎり、競走馬のゲートのような縞模様のバーと、ひときはゆっくりと滑る回送電車によって、人間の神経をさかなでるため、怨念が渦巻いていている。
という学衆の回答には、「別の文学が誕生していますね」と物語へとつながる展開が示唆される。
キーワード 怨念 勤め人 回送電車
ホットワード さえぎる みうごきがとれない ゆっくりとすべる
勤め人は急いでいるので、何で怨念がうまれるのかというのが
ホットワード?かなとおもいました
から生まれた一行が、これだ。
「朝の忙しい時間に回送電車のために立ち往生するの、むかつく!」
「学衆の見方づけを入れたともいえますし、『地』を待たされている人に変えたともいえますね」と、破の稽古を先取りしながら、回答の見方の多様性を示唆するコメントがついた。
これはもう速攻の指南ではないか!
取り組んでいた師範代たちには、そこから得られた気づきへのフォーカスがより重要視されたこともあり、一つ一つの回答への指南が入ることはなかった。そう考えると、思考プロセスを一緒に辿った指導陣からのコメントを受けることができた学衆はラッキーだったとも言えるし、また同時に応対をした指導陣もこの応接を楽しんだことも事実なのである。
最初の発言があった13時40分以後、休憩時間を除き、5分以上の沈黙がほぼなく、発言は途切れることなく続いた。
ただ聞いているだけではない。その場に参加することで得られたものが大きかったのではないか。
最後のプログラム「問感応答返」では、こんなコメントが寄せられた。
・問答は Q⇨Aというスピード感があるイメージ。
・「問感応答返」は新しいものが生まれる、思考プロセスを表現している気がします。思考を深めて、醸されて、珠玉の一滴、一魂を返していくような感じがしました。
問われる、返されるものが深いように思います。
どちらも得意、使用シーンが違うのかな?とも思いました。
教室での回答・指南のやりとりはまさに、珠玉の一滴、一魂の交わしあい。編集道の先の一端を覗いた学衆の気づきが、教室に一段と深みを与えるに違いない。
文/相部礼子(55[守]同朋衆)
アイキャッチ写真/景山和浩(55[守]師範)
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