週刊キンダイ vol.004 ~近大はマグロだけじゃない!~

2025/06/04(水)12:00
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 マグロだけが、近大ではない。

 「近大マグロ」といえば、全国のスーパーに並び、飲食店で看板メニューになるほどのブランド。知名度は圧倒的だ。その名を冠した近大生だけの「マグロワンダフル教室」が、のびのびと稽古に励むのもうなずける。

 

 だが、近畿大学が養殖に成功したのはマグロだけではない。マダイ、シマアジ、カンパチ、ブリ、クエ、ヒラメ…。さらにはウナギにも挑戦している。「近大マグロ」は一つの顔にすぎない。挑戦し続ける姿勢こそ、近大そのものなのだ。

 

 55[守]には21人の近大生が参加している。10人が「マグロワンダフル教室」。残る11人は他の教室に振り分けられ、社会人と肩を並べて稽古を続けている。その中には、すでに光る活躍を見せる者がいる。

 

 教室最速で用法1をクリアしたのはSHさん(うたしろ律走教室)。010番の回答にはこんな言葉が添えられていた。

前回の指南で教えていただいた「おっかけ千夜千冊 オツ千~」「ほんのれんラジオ」聴きます。

 指南を受けてイシスの世界に関心を持ち、出世魚ブリのようにぐんぐん編集力を伸ばしている。


 コップで「クラッカーをつくる」と回答したMHさん(ヤキノリ微塵教室)には、同じ教室の学衆からこんな質問が飛んだ。「食べものの方? パーティーの方?」。早くも001番から対話が始まった。ちなみに答えは「パーティーの方」。MHさんは別の回答でこうも語っている。

どうやら私は予定外の出来事にはテンションが上がるタイプの人間みたいです。

 卒門までに想定外も山ほど起こるだろう。1キロ1万円のシマアジを釣り上げたときのように、テンション爆上げで対応できる力は頼もしい。もちろん用法1もコンプリート済みだ。

 

001番のお題は少し緊張してしまいました。

これからはラフに頑張ります!!!

 と語るのはTTさん(百禁タイムズ教室)。その緊張、少しはほぐれただろうか? 刺身で最高に美味しいカンパチのように、ナマの自分をそのまま回答に出していってほしい。

 

 週末の集中稽古で一気に4回答。用法1を駆け抜けたのはHSさん(類想ゼスト教室)だ。

体調が回復してきましたので、皆さんに追いつけるように思考を研ぎ澄ませていきます。

 このスピードと意志があれば大丈夫。魚の王様マダイのように、編集の王道をまっすぐ、ときに寄り道しながら進んでいこう。そして最後は全員でめでタイ卒門へ。

 

 足踏みしている近大生もいるが、最後にこの言葉でみんなにエールを送りたい。

 近大生よ、うなぎのぼれ!

 

アイキャッチ/稲森久純(55[守]師範代)

文/景山和浩(55[守]師範)

 

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コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg