七夕の伝承は、古来中国に伝わる星の伝説に由来しているが、文字や学芸の向上を願う「乞巧奠」にあやかって、筆の見立ての谷中生姜に、物事を成し遂げる寺島ナス。いずれも東京の伝統野菜だが、「継承」の願いも込めて。

「動機は婚活でもいいんですよ」
13離の感門之盟の壇上で、大音美弥子師範のハスキーボイスが、歌うように「多読ジム」を語る。いよいよ来春1月13日にスタートする「読筋」を鍛える多読ジム。一般的な読書の概念を大きく覆す独特の方法を、大音師範は3つ紹介した。
1.耽読=コトワザ
読み方の技能をマスターする方法として、スタイルやモードを自分で追求していく。
2.系読=コトガラ
いくつもの本をブラウジングして並べていきながら、「個と類」のうち、とくに「類」の感覚を磨く。
3.共読=コトホギ
自身で本の内と外にさまざまな繋がりを発見しながら、一人では辿り着けない読みを仲間と共に深める。
多読ジムでは、本と自分が混ざり、交わり、相互編集がぐっと深まっていく読書法を、このほか何通りも身につけることができる。
「あとはじっさいにジムに来て発見してください」。大音師範はドラマの予告編のように、その先を伏せた。
感門之盟に先がけ、大音師範には新しいロール名、「冊匠」(さっしょう)が松岡正剛校長より贈られている。「殺傷ではありませんよ」。大音冊匠が笑みを湛えて襲名を披露。「さっしょう」というやや剣呑な言葉の響きから、こう抱負を述べた。「離がアジールなら、多読ジムはサバトにしたい」
松岡校長は、著書『多読術』(ちくまプリマー新書)で「本にさらわれたい」と思う恋心が大切なのだと語っている。自分の内にあるせつない思いや揺らぎをそっと抱えながら、五感を研ぎ澄ませ、本と、手と手を取り合って未知への旅に出る。多読ジムを受講する動機は、ホント(本と)の道行、婚活、恋愛ドラマなのかもしれない。
申し込み締切は今月末。ジムの入口で、冊匠が溢れる愛を胸に、両腕を広げて待っている。
丸洋子
編集的先達:ゲオルク・ジンメル。鳥たちの水浴びの音で目覚める。午後にはお庭で英国紅茶と手焼きのクッキー。その品の良さから、誰もが丸さんの子どもになりたいという憧れの存在。主婦のかたわら、翻訳も手がける。
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コメント
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2025-07-07
七夕の伝承は、古来中国に伝わる星の伝説に由来しているが、文字や学芸の向上を願う「乞巧奠」にあやかって、筆の見立ての谷中生姜に、物事を成し遂げる寺島ナス。いずれも東京の伝統野菜だが、「継承」の願いも込めて。
2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
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ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
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