ISIS 20周年師範代リレー [第31期 敷田信之 義に厚く、知に熱い。野武士のようなメディアマン]

2021/09/16(木)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

ジェフ・ベゾスがワシントン・ポストを買収した2013年、イシスはメディアに躍りでた。3月21日、校長松岡正剛がフジテレビ「オデッサの階段」の最終回を飾る。テレビカメラがEditCafeをのぞきこみ、編集稽古の様子が大々的に明らかになった。ときを同じくして、SNS伝奏連が発足し、エディットツアーも開始。

 

イシスが世の中にむけてマイクを持ったころ、ひときわ大音声で名乗りをあげる男がいた。

31[守]ソーシャロイド教室 敷田信之師範代である。開講一週間まえ、暴走車にはねられるも無傷の不死身。教室名ポスターを作らせれば、ビリケンがロケット発射する絵面で度肝を抜き、伝習座では「マイクはいりません」と本楼に地声を響かせる。お礼状は筆書きで、晴れ着はアラブの民族衣装。[離]の退院式で白のガンドゥーラをまとった「アラビアのロレンス」は伝説となった。

 

敷田はアツい。8[離]響承院退院後の登板、[守][破]の教室でも「離のことしか話さない」と学林局が気を揉むほど、知の熱で学衆を焦がした。アフ感で「次は花伝所か」と漏らそうものなら、周りに何人も集め「イシスに来たら、次は離だ」と野太い声で煽る。31[守]教室からは深谷もと佳と尾島可奈子、34[破]教室からは吉本明子と中村秀子を離へ送り込んだ。

 

「ギラギラ☆バザール」とのチーム名が象徴するその烈々とした影響力は、業界でも有名。敷田は関西テレビで、経営戦略から後進の育成にまで携わるメディアマン。関テレの敷田といえば、その名の轟く名物男だ。校長松岡のもとにプロジェクトの相談に来たかと思えば、20周年感門では近畿大学に撮影クルーを手配。黒づくめのスタッフ7名と本気の大型機材は、居合わせた学生たちがスマホをかざすほどのインパクト。イシス史上初となる近大ビブリオシアターからの生中継は敷田なしには成立し得なかった。声は大きく、顔も濃い。情に厚く、知にも熱いイシスきっての豪傑である。

 

敷田は自身の教室名についてこう語る。「ソーシャルメディアという一見新しい媒体は、実は日本的な方法の「もどき」(ギリシア語‐oid)でしかないともいえます」

敷田の登板に先んじること数ヶ月、千夜千冊は1500夜を達成した。松岡は上野の東京国立博物館「円空展」で50センチ足らずの人麻呂像に対面。円空のような深さと荒さと凄さをもって、人麻呂のイメージを彫り抜いた。ハイパーコーポレートユニバーシティ[AIDA](現Hyper-Editing Platform [AIDA])でも松岡直々に薫陶を受けた敷田は、日本という方法を掲げ、今日もメディア世界に斬りかかる。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

蜂球のような期だった。ゴートクジISIS   で迎えた初めての夏、記録的な猛暑の中で開講した31守の教室数は8つ。学衆の数も83名と僅か乍ら、気温を凌ぐ個々の熱量は激しい羽音とともに教室を越え、期全体に伝播。本楼扁額「少数なれど熟したり」を体現した。

 

>これからメッセージ>

巨大な力に向かう集合知ともいえる蜂球。社会にはイシスという蜂球の熱量が必要です。

 

ソーシャロイド教室 敷田信之

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇男は純情、女は度胸、フランス製のスペイン浄瑠璃

1323夜 プロスペル・メリメ『カルメン』

…2009年10月12日

◎民主党政権の誕生を新聞はどう報じたか

1317夜 アーヴィング・ゴッフマン『スティグマの社会学』 

…2009年09月02日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。