自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
■イシスをDAN ZENにする iGenセブン
松岡正剛をして「きっと次代のスターになるだろう」と言わしめたイシスiGen7人衆がいる。
その活躍は目覚ましく、師範講義に遊刊エディスト、エディットツアーなど編集学校のあちこちで頭角を現し、新しいメディエーションの方法を築き始めている。そんなiGenとは一体何者なのか?
青春時代をポケベルとプリクラとルーズソックスで過ごしたロスジェネ世代の、感門之盟タブロイド紙「Editor ship」編集長後藤由加里がiGenたちが日頃感じていることから、編集学校のこれからを訊いた。
遊刊エディスト紙上でも、7回に分けて特別転載してお届けする。
▲イシスのiGenは、千夜千冊1764夜『ホモ・デジタリスの時代』に登場した。
iGen No.1 穂積晴明(学林局デザイナー)
生誕年:1997年3月8日
編集学校歴:
41[守]想像ジャケット教室(景山卓也師範代/石澤麻子師範)
41[破]花組アイベ教室(相部礼子師範代/渡辺高志師範)
13[離]絃燈院(小坂真菜美別当師範代/福田容子別番/寺田充宏右筆)
ラジオDJにドラマー、外郎売の口上までこなす多芸多才の若きデザイナー。エディションフェアのポスターやEditorShipをはじめ、編集学校のあらゆるものをデザインする。
Q1.密かにこだわっているフェチな雑品は?
赤のグラスコード。視界の端っこをふいにチラチラするのがとても良い。思いがけず赤が飛び込んでくると興奮してスイッチがりますし、なんだか新しい器官が生えたような、オーガニック・サイボーグな感覚に陥れます。
Q2.家から最寄り駅の間でなぜかどうしても気になっちゃうことは?
道中、縄文の遺跡群が出土しているので、よく気を取られてしまいます。たまに見かける発掘隊に焦がれつつ自転車を転がせば、ブラタモリよろしく、通勤路が新石器時代に早変わりです。
Q3.『情報の歴史21』で自分の生誕年以降の歴象で一番注目しているものは?
「#MeToo(2017)」。この運動がもたらしたのは、もはや主義主張に苦労は不要という考えでした。数枚の写真に「#」さえあれば、誰だって活動家になれてしまう。しかし、このような主張の安易さこそが、スタイルや文化を貧困にしているようにも感じています。
Q4.編集学校でこれまでに誰かに言われて印象に残った一言は?
吉村林頭の「生命を地に」という言葉は、ぼくのニヒルなスタンスを変えてくれました。静止した(死んだ)見方が優位にある科学文明の中で、生き生きするにはどうするか。イシスの編集には生命的自己という与件が絶必です。
Q5.編集学校で新しい講座やプロジェクトを立ち上げるなら?
「読んで書く」と同じくらい「聞いて話す」稽古の可能性を考えたい。ぼくは活動中に音楽やラジオを聴くことが多いのですが、耳は「ながら」に向いている。編集が音声的になったら、稽古はより深く日常に浸透するはずです。
■iGen穂積をもっと知るなら!
・【速報!】 十三[離]特別賞発表 第72回感門之盟 /上杉公志
・六十四編集技法【43補加(append)】エヘン、エヘン。マスクぜよ。/しみずみなこ
・松岡正剛が語る、2020年に突出するための五箇条 /穂積晴明
・【オツ千vol.6】肖りベイコンで、イシスゲイしちゃお/吉村堅樹
■シリーズiGen〜イシスをDAN ZENにする7名〜
001:穂積晴明 外郎売りからDJまで 多芸多才のデザイナー
003:梅澤光由 全身義体を夢見る エディトリアルジャズピアニスト
004:網口渓太 関西弁のミク太郎 憧れ力で起動する編集少年
005:梅澤奈央 獲物はイジって逃さない 言葉フェチの人気記者
006:加藤めぐみ AI疑惑の超絶アーチスト 謎めく21世紀の女
iGenロゴデザイン:穂積晴明
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 今回は9月に公開され […]
【プレスリリース】新刊『不確かな時代の「編集稽古」入門』(11月13日発売)で、田中優子が学びの未来を問う
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、学長である田中優子による新刊の発売をお知らせいたします。 世界情勢の混乱、社会の分断、生成AI時代の不確実 […]
【田中優子の学長通信】No.12 『不確かな時代の「編集稽古」入門』予告
この表題は、もうじき刊行される本の題名です。この本には、25名もの「もと学衆さん」や師範代経験者たちが登場します。それだけの人たちに協力していただいてできた本です。もちろん、イシス編集学校のスタッフたちにも読んでもらい […]
田中優子の酒上夕書斎|第五夕『苦界浄土』石牟礼道子(2025年10月28日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら […]
コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。