中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
かつて校長は、「”始末”とは、終わりのことですが、エンディングとビギニングは一緒だということ。歌舞伎役者が最後に舞いたい踊りは、自分を目覚めさせる踊りかもしれないわけで、終わりのメッセージとは、何か始まりを感じさせるものでもあるんですね。」とフジテレビ『オデッサの階段』最終回で語ったことがある。
今週末の3月4日に、[AIDA]は、エディティングプラットフォームとなって3期目のシーズンを終える。最終講でも、これまでの議論を総括しつつ、新たな視点や視座や視界が交わされ、問われることになる。
それまでの15年のユニバーシティ=企業塾としての役割を果たし、[AIDA]がプラットフォームとなってからは、松岡座長とゲスト陣に「AIDAボード」を加え、全6回の「ライブセッション」、師範代が半年間”壊す・肖る・創る”の変容プロセスをかき混ぜるオンラインの「連」、Webや紙メディアでの発信と、別様の問いやモデルをよびさます「問感応答返」をおこすトポスになった。
毎期、変貌もしている。新たな仕立てをビギニングする。今期は、『知の編集工学』を必読書に、吉村林頭の『知の編集工学』”義疏”が全6回を通底し、座衆は編集工学のドローンを響かせながら、最後に”自論”を描き創るプロセスとなった。最終講は、各組織や企業の幹部やリーダーが、今期のテーマを通して、どんな視点が壊され、新たな視界がおぼろげながら開いたかが、表沙汰になる場になる。
来期は、以前は恒例だった「国内合宿」(今福龍太さんをお呼びした奄美合宿が”AIDA留年生”の中で格別として伝説になっている)が、蘇りを起こすかもしれない。オンライン参加の可能性も広げたい。今期の仕舞いと、来期の予告の報をお待ちいただきたい。
[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]
//つづく//
橋本英人
函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。
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