先人の見立て力にひれ伏すしかないと思って来た「墨流し」。戯れに、Chatさんに「蝶のスミナガシを別の見立てで改名するにはどんな名前がいいですか?」と尋ねてみて、瞬時に現れた名答に打ち拉がれております。
スニーカーならエアマックス。NBAはエアジョーダン。ダイノジはエアギター。そしてイシスにはエアサックスと呼ばれる男がいる。
感門之盟で音楽を学ぶ卒門学衆としてフィーチャーされたものの、サックスの演奏が未熟だったため、校長から吹かないで持ってるだけにしてとディレクションされたことから、「エアサックス」の愛称がついた。49[破]学衆・ヤマネコでいく教室、加藤陽康。これは3度目の正直ならぬ3度目の突破にかける若者の4ヶ月に渡る編集稽古のドキュメントである。
窓の外アマン 街はたそがれゆく
二人には時間がとまるイシス
石原裕次郎ばりにブラインドを下げて、外を覗き見るエアサックス加藤。果たして彼には、突破の先が見えたのか。前回、暗黒面から立ち直り、見事?物語AT賞のエントリーを果たした。晴々とした顔で豪徳寺に現れたエアサックスは、開口一番、もうプランニング始めてます!と得意げである。安田晶子師範代に導かれ、コースの力を信じ、締め切りに間に合わせたことが、加藤に自信を纏わせたのかもしれない。
いよいよ、[破]最後のプログラムになるのが、プランニング編集術である。ハイパー・ミュージアムを構想する。ベースとなる千夜千冊の三夜、エアサックス加藤が選んだのは、1769夜デヴィッド・ルイス=ウィリアムズ『洞窟のなかの心』、1657夜デービス・ベアード『物のかたちをした知識』、そして850夜の蕪村全句集である。
ミュージアムとしてはアイテムをリストのアイテムから洞窟壁画に仮に設定し、それを総覧することで交際知とその影に分け入っていきたい。また洞窟壁画は世界と人間のあいだの認知モデルをつくった。今回想定するハイパーミュージアムによって私たちが求めたいのは世界と人間とのあいだの新しい認知モデルだ、とする。影の中の交際というフレーズから愛の巣を連想し、窓に注意のカーソルが向かった。窓のミュージアムは面白そう。窓を打つ雨、窓の曇り、窓とカーテン、窓と借景、窓とPC、窓と乗り物、窓の開閉、窓と覗き魔…。
編集天狗と対話するうちに次々に窓のシソーラスが広がっていくエアサックス加藤の窓ノート。編集の型を使って情報を引き出していることがメモの随所から伝わってくる。
缶詰稽古に味をしめた加藤は、このあと立て続けに回答をアップした。プランニングいけます! 言葉が力強い。目指すはP1グランプリ出場である。いやもちろん、その前に突破である。突破締め切りは2/12。エアサックス加藤はこのまま順調に突破ロードを走破できるのか。次回、エアサックス、ハイパー苦闘編にご期待ください。
【エアサックス加藤の三度目の突破】バックナンバー
■【エアサックス加藤の三度目の突破10】窓からミュージアムが見える?
■【エアサックス加藤の三度目の突破09】ダース・カトウの再生はなったのか?
■【エアサックス加藤の三度目の突破08】嗚呼!エアサックス母子応援団
■【エアサックス加藤の三度目の突破07】波乗りエアサックスの慢心を諫める
■【エアサックス加藤の三度目の突破06】たくさんの天狗とたくさんのわたし
■【エアサックス加藤の三度目の突破05】歴史的快挙そして新たなる野望(本記事)
■【エアサックス加藤の三度目の突破04】守の型を使い尽くすべし
■【エアサックス加藤の三度目の突破03】心がわりの相手は君に決めた!
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
【プレスリリース】本好き必見:松岡正剛の郷読&多読 2大ブックフェス開催!11月、東京と福岡で「本の祭典」——九州は田中優子トーク、東京は6万冊の本棚空間で古本市&ライブトークをイシス編集学校が初開催
本を読むだけでは終わらない、本の新たな可能性をひらく読書の祭典へ——。 イシス編集学校は、11月に福岡と東京で本好き必見の二大イベントを開催します。校長であり編集工学者の松岡正剛の読書術を活かした「郷読」「多読」の祭典で […]
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 最近ではめきめきと秋 […]
なぜ「好きなもの3つ」で思考のクセが見抜けるのか?イシス編集学校「編集力チェック」の秘密
「好きなものを3つあげてください」たったそれだけで、自分でも気づかなかった「思考のクセ」が見えてくる――。一人ひとりの発想力や思考力を伸ばすと定評のあるオンラインスクール「イシス編集学校」では、無料で「編集力チェック」を […]
方法の学校は、ここしかない。世界で唯一の学校【ISIS co-missionメッセージ 井上麻矢×田中優子】
イシス編集学校アドバイザリーボード ISIS co-missionメンバーより、これから「編集」を学びたいと思っている方へ、ショートメッセージが届きました。なぜ今、編集なのか、イシス編集学校とはなんなのか。イシスチャンネ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 10月は開講ラッシュの月。基本コース[守]、応用コース[破]、師範代養成コース[花伝所]、技法研鑽コース[遊] […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-20
先人の見立て力にひれ伏すしかないと思って来た「墨流し」。戯れに、Chatさんに「蝶のスミナガシを別の見立てで改名するにはどんな名前がいいですか?」と尋ねてみて、瞬時に現れた名答に打ち拉がれております。
2025-10-15
『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。
2025-10-14
ホオズキカメムシにとってのホオズキは美味しいジュースが吸える楽園であり、ホオズキにとってのホオズキカメムシは血を横取りする敵対者。生きものたちは自他の実体など与り知らず、意味の世界で共鳴し続けている。