イスラエルで起こっていることから目をそらすな、ガザの惨劇に目を向けよ、…と言いたいのは山々なのだが、そう、ことは簡単にはいかない。SNS時代の自意識というのか、冷笑系のセルフつっこみとの戦いが待っている。令和の社会派は、なかなか大変なのだ。
夕暮宇宙船『未題』は、pixivサイトでも無料で読めるが、書籍版(『小さき者たちへ』)もアリ。売り上げはパレスチナ支援に充てるとのこと。
ーー メディアが変化しているときに誰が何をしたのかもっと見た方がいい。
つい先ほど終了した「戸田ツトムのブックデザイン展オンライントークイベント」の終盤で松岡校長がそう話していた。
では、千夜千冊エディションが”写真”になるときは誰が何をして、どんな変化があるのだろうか。
「連塾」をはじめ長きに渡り、松岡正剛を撮影するプロカメラマンの川本聖哉氏。今期のHyper-Editing Platform[AIDA]のスチールも任されており、ここ数年は松岡著書の撮影も担当している。11月末日には過去3年間の著作を一気に撮影するという。なかなかお目にかかることのできない舞台裏。当日の撮影現場を10shotでお届けします。
この日は朝から一日がかりの撮影。午後からお邪魔すると本楼がすっかりフォトスタジオになっていた。千夜千冊エディションの関係線を考慮しながら丁寧に並べる太田香保総匠(右)と寺平賢司。

一旦並べ終えると本楼の照明を消し、いくつもの撮影用照明で本を照らす。影の写り具合や配置のバランスなど繊細な微調整をする川本さん。

「寺平さん、『宇宙と素粒子』を反時計周りで1、2分動かして」ファインダーを覗き、更に細かく本の顔をたたせる。

撮影・チェック、撮影・チェックを幾度と繰り返し、本の配置と使用するレンズを確定したら本撮影。僅かな違いを見極めて、18冊あるエディションのポジションを決めるのは至難の業。

次はバージョンを変えて、エディション総動員第2弾。大きなアクリル板が本の舞台となり、18人の役者が顔を揃える。

照明として懐中電灯が登場!ビニールを被せると柔らかな光となる。エディションたちを下から横から優しく照らす。

松岡校長も撮影現場にお立ち寄り。「本を開いて動きをもたせていい」と躍動感を演出する。

そして林朝恵師範による動画撮影。前から後ろ、後ろから前、そして蛇行しながら。息を飲み両腕を震わせながら一冊一冊を舐めるように撮る。

役者たちの顔もさる事ながら並んだ背中も美しい。それぞれ何のエディションだかおわかりだろうか。

エディションのあとは、英語になった『花鳥風月の科学』、中国語になった『国家と「私」の行方』、『編集手本』と撮影は続く。写真は蛇腹に開いた『編集手本』。
午前からスタートした撮影は集中力を持続したまま18時過ぎに終了した。ここまで照明や配置にこだわり尽くし本を撮影するのはここだけですよ、と川本さんは言う。
本にも表情がある。その表情はとても美しい。本が写真というメディアになるとき、そこには著者と作り手の想いと、その想いを理解するカメラマンといくつもの懐中電灯があった。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
熊問題に、高市内閣発足。米国では保守系団体代表が銃撃された。 イシスの秋は、九天玄氣組 『九』、優子学長の『不確かな時代の「編集稽古」入門』刊行が相次いだ。11月にはイシス初の本の祭典「別典祭」が開催され、2日間大賑 […]
エディスト・クロニクル2025 #02 松岡校長一周忌 ブックウェアを掲げて
酷暑の夏、参院選は自公過半数割れで大揺れ。映画「国宝」は大ヒットした。 8月は、松岡正剛校長の初の自伝、書画集、『百書繚乱』と3冊同時刊行で一周忌を迎える。田中優子学長は近年の読書離れを嘆き、YouTube LIVE […]
エディスト・クロニクル2025 #01 田中優子学長、師範代になる!
新横綱の誕生に、米トランプ大統領の再選。米の価格が高騰する中、大阪・関西万博が開幕した。編集学校では、54[守]特別講義に登壇したISIS co-mission 宇川直宏から出題された生成AIお題に遊び、初めて関西で開 […]
写真というアウトプットにコミットする俱楽部 多読アレゴリア「倶楽部撮家」第3期目は、さまざまなものや先達から肖り、写真をより楽しむことをテーマにします。 第1期目の夏シーズンは、自身の幼な心からはじめ、お盆にはもう会 […]
『方法文学』を写真する PHOTO Collection【倶楽部撮家】
本にはなんだって入る。世界のまるごと入ってしまう。写真にもなんだって入るだろう。世界がまるごと入った本だって入る。 今夏刊行された『百書繚乱』(松岡正剛/アルテスパブリッシング)では、こう締めくくられている。 &nb […]
コメント
1~3件/3件
2026-01-08
イスラエルで起こっていることから目をそらすな、ガザの惨劇に目を向けよ、…と言いたいのは山々なのだが、そう、ことは簡単にはいかない。SNS時代の自意識というのか、冷笑系のセルフつっこみとの戦いが待っている。令和の社会派は、なかなか大変なのだ。
夕暮宇宙船『未題』は、pixivサイトでも無料で読めるが、書籍版(『小さき者たちへ』)もアリ。売り上げはパレスチナ支援に充てるとのこと。
2026-01-06
背中に異形のマレビトを背負い、夜な夜なミツバチの巣箱に襲来しては、せっかく集めた蜜を略奪するクロメンガタスズメ。羊たちが静まり返る暗闇の片隅で、たくさんの祭りのニューロンがちかちかと放電し続けている。
2025-12-31
鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。