周囲の心配はどこ吹く長崎BREEZE。飄々とした渋谷が自信満々に用意した編集ワークは「ルル3条」。企画やゲームを組み立てるために、ルール(規則)・ロール(役割)・ツール(道具)を三位一体で動かしていく即効性の高い編集術である。その例示として渋谷が持ち出したのが、やはり「さだまさし」。映画『長江』で負った35億の借金を返済するために、債務者というロールになり、借金を返すというルールで、コンサートというツールを使う。年末TV番組「今夜も生でさだまさし」のルル3条は、投稿ハガキ、生放送のルールで、自らはDJで歌手、視聴者と設えのお絵かきというロールを用意し、ハガキ、音楽、ホワイトボードのツールでTVなのにラジオ番組風に仕立て上げた。渋谷が毎年行くというクリスマスディナーの握手コーナーでは、自らの握手は一度だけというルール、ロール。そこに2018年から新たにツールの音楽を「北の国から」にするという編集を加えたことで、歌詞を忘れたり、握手を終えるタイミングを気にしなくてよくなる、というルル3条編集を行った。渋谷曰く、「まさしはルル3条の達人」。とことん、まさしにこだわって見せた。
参加者へのお題は「どこにもないクリスマスイベント」のルル3条。参加者のプレゼンの一つは「捨ててたまるかクリスマス」。穴の空いた靴下をツールに使い、ロールはそれを繕う針子、ルールは靴下の穴を塞いだ人にプレゼントが贈られるというもの。そのほかにも「子どもがサンタのクリスマス」「営業に行かないクリスマス」「違う日にやるクリスマス」「宗教ごとにコスプレするクリスマス」といくつものどこにもないクリスマスイベントがルル3条をつかって出来上がった。渋谷は、自らのまさしフェチという与件を使い、参加者の編集力を引き出してみせたのだ。
あ〜あー あああああーあ ああーあああああー(「北の国から」のBGM)。
拝啓、菜穂子ちゃん。ぼくはこのエディットツアーがとてもうまくいかないと思っていたわけで。
でも菜穂子ちゃんは、ぼくが思うよりずっと上手にナビゲートしてみせたわけで。
最後に、松岡校長のスカジャンを羽織り、渋谷菜穂子師範代はしてやったりの会心の笑みを浮かべた。