遊刊エディストは創刊以来3度目の新年を迎えました。2022年も「新春エディスト編集部放談」をお届けしてまいります。
2021年は皆さんにとってどんな1年でしたか? 大活躍のエディスト・ライターやニューカマーズをゲストに招き、過剰に過激に放談します。2022年が格別な編集イヤーになりますよう、放談連載を読んで幸先のよい編集スタートを切っていただきたく。では、全5回の連載をどうぞ存分にお楽しみください。
◎遊刊エディスト編集部◎
吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 松原朋子 師範代, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範,穂積晴明 デザイナー
吉村 あけましておめでとうございますっ!!!!!
金 2022年になりましたね。今年も新春放談をお届けしましょう。
松原 まずは恒例の気になるアイキャッチ画像についてお聞きしたいです。
吉村 はい、これは2022年の編集工学研究所の年賀状デザインですね。
松原 いくつもの虎がいますね。今年も穂積さんのデザインですか?
吉村 僕がいくつか言葉を出して、松岡校長にOKをもらって、それから穂積がデザインするんですよ。今年は「虎色旬然」なんですけど、いろんな色の虎がいるでしょ。これは、“たくさんの私”と“たくさんの世界”にかけました。たくさんの私とたくさんの世界があることに確信をもってイシスに旬を起こしていこう、というメッセージです。あとでまた詳しく話しますね。
穂積 いろんな虎の横顔をデザインしていたんですが、林頭が虎は正面を向かないとダメだと言うんですよ(笑)。結局、一休さんが屏風から虎を出すというトンチ話にかけて、本から虎が出てくるようにしました。
吉村 カラフルな虎色としたのは、いろんな虎でいきたかったんです。しかも、黄色い虎ではないものも出したかった。ひとつはボルヘスが夢に見ていた「青い虎」。
穂積 実は母親がBTSにハマっていて。BTSってカラフルに登場するじゃないですか。そんなイメージが先行して虎を色とりどりに。タイガー立石だと木村久美子月匠にツッコミいただきましたね(笑)
吉村 最近は穂積のデザインを松岡校長も絶賛しているんですよね。そんな穂積には、また後ほど今年の抱負も聞かせてもらいましょう。
金 じゃあ、今年も、まずは昨年を振り返るところからいってみましょうか。
梅澤 あのう、実は私、今回が新春放談への初参加なんですよ。毎年楽しそうだなと思って、正月の寝床で読んでたのですが。
吉村 そうでしたね、編集部にウメちゃんが参加したこと!これが2021年の編集部的に大きい「事件!」だったんじゃない? [破]のバンキシャを担当することをきっかけに編集部入りすることになって、それ以来ダントツの記事数を記録しています。すでに120ぐらい書いているよね。個人で3桁も書いているのは一人だけだね。小倉(加奈子)析匠でも80ぐらいじゃないかな。
破に番記者ウメ子あり!イシスの歴史を展く新ロール
梅澤 バンキシャをお披露目するとき、林頭が勝手に「週に1本のペースで記事が出ます」って宣言してしまったもんだから、もう焦りながら書きましたよ…。
吉村 よくぞ続けてくれたと思います。これはエディストに革命をもたらしているよね、誰もできなかったことだから。
梅澤 編集学校のことって説明するのが難しいですよね。36花の入伝式で寺田充宏師範が、その理由をイシスは「ルル3条」が外の世界と違うからだと説明なさっていました。[破]に関する記事を担当するようになって、それを強く思いますね。いつもルル3条の翻訳をするように書いています。
金 Edist Night(編集部会議)のとき、一つ一つの記事をどう描くかを「四六時中、常に考えている」って言っていたじゃないですか。この「四六時中モード」ってなかなかしんどいはずだから、これは本気だなって思いました。数打っているだけではないから、すごいですよ。
吉村 ウメちゃんは非常にフラジャイルなアンテナを持っていながら、コンスタントに出せるんですよ。フラジャイル過ぎるとなかなかコンスタントに力を発揮できない。そこが両立できているところが稀有ですね。松岡校長も絶賛です。
金 コンスタントはそうですよね。僕は三冊筋プレスは一応続けているけど、そろそろあやしくなってきた(笑)。コンスタントって言ったら、堀江純一さん(「マンガのスコア」)と松井路代さん(「編集かあさん」)、ウメちゃんぐらいですか?
川野 プレイヤーで言えばジャイアン角山祥道もそうですね。
吉村 川野さんとタッグを組んでね。[守]の師範代をしながらエディストに連載したというのがすごいですよね。師範代をやりながら他のことをやるというのは以前はご法度だった。それがなんと「新師範代登板記」と「ジャイアン人物伝」と2本の連載を続けました。[破]師範代を経て今期[守]師範になって、エディストにまた戻ってきてくれました。ジャイアンは講座やイシスの全体を見られる人なので、これからにとても期待しています。
金 そういえば、後藤さんもコンスタントですね。90本行きましたね。
吉村 10shotなどの写真記事はもちろんですが、エディストのスタート時からマネジメントとしても毎日欠かさず支え続けてきてくれています。今や後藤由加里なくしてエディストなしという存在です。
後藤 私のことはさておいて、小倉加奈子さんと深谷もと佳さんも際立っていますね。お二人はエディスト・ライターの第一世代で、今や講座を背負って執筆されてます。内容の密度も素晴らしいです。羽根田月香さんも、お仕事の関係で一旦連載休止になりましたが「イシス人インタビュー☆イシスのイシツ」でエディストを引き上げてくださいましたね。
羽根田月香さんによる連載:イシスのイシツ
金 深谷さんといえば、12月になって千夜千冊にイシスの指導陣、エディスト・ライターが登場したことも画期的でしたね。
深谷もと佳さんが登場した千夜千冊!!!
金 あと、千夜千冊といえば、松岡校長の千夜千冊エディション20冊出版記念として、全国でブックフェアを展開したことも2021年の大きな「事件!」だったんじゃないですか。
後藤 エディストにも怒涛のごとく記事が上がって、40以上いきましたね。どんどん上がってくる記事に伴走するので精一杯でした(笑)
金 ほんとですよね、ハードだったからか、記憶から消えつつありました(笑)
上杉 全国の師範・師範代や学衆さんたちが各地でチームを組んで動いて、生命体のようなプロジェクトでした。地域の書店さんと連携して、続々とレポートが掲載されましたね。みなさん大活躍でした。
吉村 松岡校長といえば、昨年4月に再手術をしたことは忘れられないね。その後、無事に復帰してからは千夜千冊でグノーシス、神秘主義の連打。もちろん、エディションはずっと発刊が続いています。
後藤 千夜千冊エディションとしては、昨年1月25日に『サブカルズ』、4月23日に『仏教の源流』が20冊目として出版されて。さらにエディションフェアを全国展開している最中の7月16日に『資本主義問題』、そして『全然アート』が10月21日に出ました。年末に公開したエディスト・クロニクルにも刻んでおきましたよ。
上杉 『外は、良寛。』も、ちょうどブックフェアの終わり際に出版されましたね。2021年の年明けすぐに『うたかたの国』、田中優子さんとの共著『江戸問答』がほぼ同時に出たのも印象深かったです。
梅澤 それで5月には『うたかたの国』に関連して、エディスト編集部で米山さんにインタビューをさせていただいたんですよ。あの2万字ロングインタビューは、工作舎さんのHPでTopicsとして取り上げていただいたようです。
[interview]『うたかたの国』編集者 米山拓矢に聞くうたの未来
【い】古文嫌いの少年時代(2021/5/8公開)
【ろ】『擬』もどいて、セイゴオくどく(2021/5/11公開)
【は】700年後の返歌待つ(2021/5/14公開)
金 昨年はプロジェクト系もたくさん動いていましたが、小倉さんと一緒に作った経済産業省プロジェクトの“MEdit Lab”第一弾が公開されました。第2弾は、今年早々にもアップされますので、これも楽しみです。
吉村 プロジェクトといえば、『情報の歴史21』が4月に刊行されたことがやっぱり「事件!」でした。企業からの経営幹部が参加する[Hyper Editing Platform AIDA]でも毎回ジョーレキのレクチャーを担当しているんですよ。12月にはDOMMUNEで2日間の番組を放映したんですが、ジョーレキを柱に2日間のプログラムを組み立てました。2022年はもっとジョーレキしますんで、期待してください。
川野 [AIDA]では私も師範代を担当していて、ビジネス・パーソンたちが「連」と名付けられたエディットカフェの教室で学びあっています。 まさにイシス式が [AIDA] でも活かされている。DOMMUNEの時には、参加者たちが[破]さながらにクロニクル編集に挑戦して、番組でプレゼンテーションするというお題がよかったですね。
松原 お題と言えば、2021年は講座のお題改編がいろいろと行われました。
吉村 まず[物語講座]の大きな改編がありました。[破]もプランニングの改編を行いました。そして、[多読ジム]ではスペシャルコースとして「大澤真幸を読む」が実現できましたね。
上杉 松岡校長も「セイゴオほんほん45」で絶賛されていましたね。
吉村 大澤さんは[AIDA]のアドバイザリーボードでもあるんですが、このコースは編集学校の編集術と大澤真幸さんの思考術のコラボともいうべき内容でした。12月には大澤さんも修了式に参加して、松岡校長と対談を行ったんですが、校長も終始ご機嫌でしたね。2022年はどんな「○○を読む」になるかご期待ください。
金 今回は大澤真幸さんの『〈世界史〉の哲学』というとんでもなく分厚いハードな課題本に取り組んで、1万字の読創文を書くことが最終課題でしたが、みなさんよく取り組まれましたね。3人の受賞者の作品もエディストに掲載しています。
多読ジム スペシャル・コース「大澤真幸を読む」受賞作品
吉村 もうお一人、AIDAボードでもある田中優子さんとのコラボも2021年に始まりました。[AIDA]から生まれた新プログラムで[間庵]という活動です。
川野 田中優子さんが庵主の日本型サロンですよね。オンラインでは連句をビジネス・パーソンたちが楽しんだというアレですね。
吉村 [守][破][離]を学ばれて[風韻講座]も受講し、今は[物語講座]受講中の田中優子さんが、法政大学総長の任期を終えられた。いよいよイシス編集学校とのコラボレーションが本気モードになるのが2022年でしょう。
川野 外部の叡智とのコラボレーションが加速している感じが、「シン・イシス」でいいですね。
松原 そろそろお一人目のゲストがいらっしゃいました。先ほど“コンスタントの修行僧”として話題にあがっていた画伯をお呼びしますね。
※1月2日に「其の弐」を公開いたします。どうぞお楽しみに。
2021新春放談企画「エディスト、装い新たに大ブレイクだ!」
其の壱 – 常時編集状態のイシス(1月1日公開)
其の弐 – マンガのスコア、書籍化間近か?!(1月2日 公開)
其の参 – 全国の子どもたちに編集術を手渡す(1月3日 公開)
其の肆 – 四人四様、新コーナー企画会議(1月4日 公開)
其の伍 – 同時多発・連続・連動で火をつけろ!!! (1月5日 公開)
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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