松岡校長による「花伝敢談儀」の書。だが、よくよく見てみると何か違和感がある。
「談」には三つの炎が燃えたぎり、「儀」には二つの人偏が対話しあう。「花伝」のまわりには朱が舞い、二つの炎では到底足らない方法へのZestや、問感応答返によってうまれる創発がほとばしる。過剰や逸脱を恐れず「敢えて言葉にする場」である敢談儀への校長の期待が込められている。
敢談儀は、花伝式目を通じて師範代の方法を体得する花の集大成であり、師範代ロールへ着替えるスタートでもある。
「この世で最も古いもの」が一瞬で「この世で最も新しいもの」へ転位する
「今日はフィードバックからフィードフォワードへと向かう舞台です」。
三津田知子花目付は、まずは「振り返り」という言葉に立ち返る。
「振」は、バイブレーション(振動)に身を置くこと。変異するのは新型コロナウイルスだけではなく、私たちの細胞も毎日100万という単位で変異を起こしており、この瞬間も一部が変異しつづけている。そうした生命のモデルにも肖ること。
「返」は、見立てるならば、J・G・バラードの『時の声』の、「この世で最も古いもの」が一瞬で「この世で最も新しいもの」へ転位する出産の場面のよう。時空が入れかわるような瞬間が「返」にはある。
「変化・変異を機会とし、これまで積み上げてきたことも置いて、敢談儀の場で起こる返に向かってほしい」。三津田花目付は、マイクを持つ手に力を込めながら放伝生にエールを贈った。
Zoom越しにHereとThereを即座にインタースコアする
エディストで「週間花目付」を連載の深谷もと佳花目付は、敢談儀の「ライブ性」に着目する。和装の三津田花目付とは対照的に「くれない・やまぶき・むらさき・わかくさ」の道場カラーを想起させる細身のシャツに、黒のレザーパンツをまとうパンクファッションスタイル。昨年末はエディスト上で初の「ラジオエディスト」音声配信を始めた。花目付のたたずまいに、モニター越しの放伝生もむずむずと動き出さずにはいられない。
「ここは、本楼とモニターの向こうで、HereとThereを橋渡しする場。ライブなあなたとわたし、聞き手と話し手のインタースコアをして欲しい」
ライブ性を体現すべく、敢談儀で「問感応答返」の実践を持ち込んだ。たとえば、自分の「好き」を編集工学と重ねて語る「フェチ語り」では、単に自分のことを語るだけでなく、前の語りに感応した上で語り始める。前の人の発言を受容し、要約し、自分のモデルを重ねる。
「編集的可能性の余地を残しつつ次の人につなげることで、一人ひとりの言葉が断片的にバラバラに語られるのではなく、重なりながら編みあわされる一日になるように期待しています」。
振り返りと問感応答返でフィードフォワードへ。昨秋の入伝生から放伝生、さらに師範代へロールチェンジする敢談儀は、先達の三國紹恵師範代の対談、道場ごとにわかれての道場面談、千夜千冊エディション『情報生命』のリーディングモデルを交わす編集工学のスコープ、敢談儀を振り返る全体敢談とつづく。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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