空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

7週間に渡る道場や錬成場での鍛錬を越え、いよいよ、週末のキャンプに向けて出発だ。
「編集学校のお泊まりキャンプ今から楽しみです^^」
「どんな内容なのか、ソワソワワクワクしています」
「いよいよキャンプ。何が起こるのでしょう?!」
と入伝生の言葉も軽やかだ。
ここまで急勾配が続く険しい道のりだった。子育て中のHは「夜行性のオセロット、寝かしつけ寝落ちから復活してきました(苦笑)」と早朝4時に指導へのフィードバックを返す。大学生のMは「昭和のサラリーマンを憑依させ24時間戦う決心をして、執念で、眠気と戦いながら頑張ります」と宣言し、授業と並行しながら指南を放つ。それぞれが崖っぷちから送信ボタンを押し続け、編集筋力をつけていく。
花伝式目最後のM、Makingのフィナーレが近づく頃、入伝生の指南は見違え、交わす言葉も変化を見せる。余白が掴めないと悩んだKは、丹念な言葉で熟談する錬成師範 村井宏志の指導を受け「花伝で一番褒められた気がして、素直にうれしい。連想は意外な武器になるかも」と笑みを零す。Oも「ズタボロの部分もあるのですが、それよりも奥深さや楽しさが圧勝しています!」と力強く締めくくり、村井も微笑む。
困難の末、5Mの修得に手応えを感じた入伝生は、更なる成長を求め、道場を飛び出し、キャンプに向かう。もちろん、花伝所のキャンプと言えば、優雅なグランピングではなく、泥だらけのサバイバルキャンプである。地図もない、ガイドもいない、トイレもない。
さぁ、生き残るための旅支度だ。手にしたばかりの秘伝の5Mに、キャンプらしく「遊び心」をリュックサックに詰めこもう。どう生き延びて、どう遊びたおすのか。37花、一度っきりの夏だ、キャンプだ、旅立ちだ!
文 美濃越香織(花伝師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)
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イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
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2025-09-09
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ヒトが繋げた植物のその先を、人知れずこっそり繋げ足している小さな命。その正体は、自らの排泄物を背負って育つユリクビナガハムシの幼虫です。