5月7日、37[花]の「ガイダンス」が開催された。オンライン画面を通じて30名の入伝生と18名の指導陣が一堂に会した。
ここでは学衆から入伝生へ着替えカマエとハコビを持ち換えていくためのヒントがたった二時間に凝縮されて手渡される。花伝所では教室から道場へ、学衆から入伝生へと舞台やロール名が変わる。しかし「自身が変わらないと何も変わらない」と田中晶子所長はぴしりと最初のカマエを示した。
続いて花目付の深谷もと佳は自身のアトリエからエンゼルスのユニフォーム姿で登場。7週間の演習における「型」との向きあい方を「守破離」と川上不白の言葉と共に入伝生へ手渡す。
守破離と式目(5M)を重ねて語る、深谷花目付。
■直線ではない、直接ではない
錬成師範の平野しのぶが世阿弥の『却来華』を紐解きながらフィードバックループの手ほどきをする。師範代としての成長と深化を、異なる次元ともとの次元との往き却りを繰り返す却来の「らせん構造」に重ねてみせた。それに続く吉井優子花伝師範は『芸と道』を引用しながら「花伝式目を丸のみしろ」「代になりきれ」と静かに言い切る。「師範代という方法」は誰かの「代」になりつつ、いつの間にか「成っている」もの。なんとも禅問答のような「師範代という方法」に新たなQを抱えた者も多いだろう。
■仮説的に何度も動かす
実践的な指南演習である錬成の解説をする内海太陽錬成師範は手書きの図解で「仮説的なターゲット」を強調する。固定化されたヴィジョンに向かうなとくぎを刺した。また村井宏志錬成師範も指南の過程に用いる「問感応答返」の五文字を手に、リバースエンジニアリング(RE)を「何度も行き来させる」必要があるのだと重ねた。仮説を動かせ、何度も行き来せよ、と「却来」を思わせる言葉が繰り返される。
左から平野師範、吉井師範、内海師範、村井師範、武田師範 入伝生をレクチャーで導く。
■すでに「成っていく」にさしかかっている
入伝生たちにとってはガイダンスが互いの初顔合わせの場だ。しかし実は入伝生たちはガイダンス前からすでに活発な交わし合いを続けている。プレワークだ。そんなリバースエンジニアリングあふれるプレワークを紐解いたのは[守]学衆からの同期という堀田幸義、佐藤健太郎の両錬成師範。対話を重ねてコップを言い換え続ける入伝生たちが、すでに師範代に「成っていく」過程の入口に立っていることをインタースコアたっぷりに見せる。外部からの触発だけでなく、自らが持っている想像力を解き放つことこそが「解発」だというのは武田英裕錬成師範。自身がビジネスの中で見つけたというアナロジーコレクションは圧巻だ。
堀田師範(左)、佐藤師範(右)Zoomの向こうの入伝生と対話する。
ガイダンスの最後に林朝恵花目付はレクチャーをこう締めくくった。
「負を抱えているのは当たり前。自信がないと言わなくていい。場を信じて欲しい。簡単に道を外れないで欲しい。道は続いていくのです」
一週間後は入伝式。直後から道場演習がスタートする。そこで30人の入伝生たちはこれからの七週間で数えきれない却来を繰り返すのだろう。編集の道はまだ始まったばかりだ。
文 神尾美由紀(錬成師範)
アイキャッチデザイン・写真 阿久津健(錬成師範)
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
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