空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

花伝所での演習はModel(型)に始まる
5/15に5つの道場が開き、花伝演習がスタートした。入伝生は演習にて5つのM(モデル、モード、メトリック、マネジメント、メイキング)を順に学び、“師範代”としての実践的な編集力を身に着けていく。
わかくさ道場では吉井優子師範が礼を持って臨めば、その立ち振る舞いを「礼!> ○┐」とモデル化してみせる入伝生。一丸となってトップスピードで演習に臨みつつ、その時々の気持ちや状態を「┌〇┐ <ごめん!」「バタンキュ> _○へ_」とモデル表現することも忘れない。滑り出しは上々だ。
ところで、5MはなぜModel(型)に始まるのだろうか。演習開始時に届けられた総論のタイトルにはこうある。
“モデルをつかむ/ 指南の基本フレームを組み立てる”
この一文の意味、改めて考えたい。指南とは何だったか。それはすでに編集されたモノ・コトを再編集し、新たな価値や意味をつくったり、可能性を増やしたり、ものごとを前に進めたりするための方向性“南”を“指”し示すことだ。そのためにも、私たちの前に投げ出されたモノ・コトを情報として捉え、分節化し、メッセージだけでなく、その背景や文脈を含む編集構造(エディティング・モデル)として捉えることが欠かせない。構造が取り出せれば、それらの編集可能性が見えてくる。モデルに対してこれまでとは異なるアフォーダンスを感じることだろう。そう、Model(型)を捉えるということは、世界再編集のための第一歩だったのだ。
30名の入伝生は対象となる情報のモデルを取り出すことと合わせ、自らの編集モデルを自覚しながら新しい編集的世界へと向かっていく。
世界は編集されたがっているのだ。
文 武田英裕(錬成師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)
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イシス編集学校 [花伝]チーム
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