発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

さし掛かる入伝生・仕掛ける師範代
6月5日(日)、各道場でM4の出題とともに、これまで取り組んできたM1モデル、M2モード、M3メトリックの演習を振り返り、自己評価をする中間スコアが入伝生に課された。花伝所の5M演習は、早くも折り返し地点にさし掛かった。
さし掛かる入伝生が取り組む演習M4はマネージメント。といっても、
マネジメント・モデルなんていらない。
と言われてしまうような管理するモデルではない。営にして、掛である。花伝式目にはこうある。
一般的なマネジメントと違うのは、一連の流れすべてを〈編集〉ととらえて、守破の編集術と式目の型を総動員して場に向かうことです。3Aを躍動させてイメージメントをおこし、メトリックをもってマネージメントに臨みましょう。
[花伝式目]M4【Management】総論
M4演習の仮留めを始めたやまぶき道場のTから「また、メトリック!マネージメントもメトリックか!!」と声があがった。
そう、マネージメントは、
わかりやすく決められ当てはめていく、主語的なものというよりも
わからない対象にメトリックをもって臨む、述語的なものだ。
となると当然、使う主たる方法もロジカル・シンキングではない。
これに対して、アナロジカル・シンキングという方法がある。連想性をいかし、「飛び」や「意外な発想」をおもしろがり、推論中に保留された事項や計画を捨てないという方法だ。ロジカル・シンキングは演繹法と帰納法を常套手段とするのだが、アナロジカル・シンキングは第3の推論の仕立てとして「アブダクション」という方法をいかす。
メトリックを持って、アブダクティブなアプローチで、場に、学衆に、自らに、統制ではなくゆらぎを仕掛けていく。まるで、あそこ!と思い切って自らまるごと投げ入れてしまうかのように。すると、水平に制された水面に波紋が生じる。仕掛けたゆらぎは往還運動のなかで勢いを増す。波立っていく。往く波と還る波とが重なり増幅される。往還のノードとなるのはたくさんの私である。
むらさき道場のMが吐露した「自らの『守』での師範代とのやりとりから多くを学び直している」ことは最たるものの一つだ。学衆だった入伝生と師範代の問感応答返は営々と続いていたのだ。フセられた仕掛けをアケ、出身教室のミームを受け取り、入伝生は師範代を擬いて自らに仕掛けていく。そうしてトランジションしていく。
もう入伝生はみな、次なる営々とした問感応答返に向かっている。
文 蒔田俊介(錬成師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。