私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

若き日の草踏む道を振り返り
四つの道場が次々に開く。10月23日午前八時。やまぶき道場が膜をあけた。ウェルカムメッセージには花伝師範の極上の想いが掲げられる。いよいよ20名の入伝生が道場を纏い式目演習に向かう瞬間だ。
ただ、一人ではない。道場の仲間と師範陣、そして入伝式の共読ワークで創りだした道場ごとの五か条もある。
◆わかくさ道場
①学衆さんに対するリスペクト
②予定調和にしない
③偶然を尊重する
④幼心で楽しむ・面白がる
⑤不足から生まれるものがある
◆やまぶき道場
・畦道、寄り道で見つけたものを引き連れるべし
・なりとふりでつもりの世界を突き詰めるべし
・全体と断片を交互に見るべし
・感想的な指南を書かないべし
・個々だけでは見えてこないものを追うべし
◆くれない道場
一 多様に伏せて、独白に開けて
二 物まねから、つもりをホントに
三 回答の別様を大切に
四 偶然の気付きにカーソルを
五 関係性の変化に面影を観る
◆むらさき道場
むらさきは、半生のままでも相互作用を活用する
むらさきは、異質に分け入り面白がる
むらさきは、間を走るアスリートである
むらさきは、別様のための実験道場とする
むらさきは、不意と影を取込み、将来を創文する
道場五か条は、38花各道場の多様を表しつつも、底流には花伝のインヘリタンスも感じられる。
千夜千冊の方法と、道場演習のTとその先にも接合して、ブラッシュアップを進めたい
花伝師範・岩野範昭の入伝式ワークでの評価コメントは、各道場生への期待と餞の言葉だ。五か条は38花を通してエディットされ道場の色彩を際立てていくだろう。
◇◇◇
10月24日 道場生の緊張と期待と編集熱が画面越しに伝わってくる。むらき道場に「M1(モデル)」が投じられた。
いよいよ花伝演習のはじまりです。M1演習課題を出題します。居ずまいを正し、臨んでください。(花伝師範・中村麻人)
ここは教室ではなく道場。この花伝師範の言葉のハコビで背筋が伸びたことを、経験者の誰もが思い出す。道場では、道場生だということを。
やまぶきのMが道場挨拶で届けた言葉が浮かぶ。
今回の道場メンバーは、職業、年齢、経験値、出身期・教室が多様なため、どんな編集モデルが登場するのか楽しみにしています。相互編集やモデル交換するのも楽しみです。
メンバーの多様は相互編集のための大事な突起。あらゆるバイアスを消し、ダイバーシティをエディティングセルフの喚起へ向ける道場生のカマエが求められる。私という地から師範代という存在へ。自分以外の他者を我が身に取り込むことで編集的自己があらわれる。肝は、師範代へなるというカマエだ。
文 岩野範昭(花伝師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(花伝師範)
【第38期[ISIS花伝所]関連記事】
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2025-07-03
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2025-07-02
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ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。