発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

「いきなり有事だわ~」
10月18日に開講を控えた48[守]のバックヤードでは、事件が発生していた。コトアゲの主は、吉村林頭から「速修スリーレディース」と名付けられた、平時有事教室の石黒好美師範代だ。45[守]から始まった、15週間でカリキュラムを完了する「速修プラン」。今期は3教室が準備され、14[離]を退院したばかりの3人の猛者、もといアフロの西村慧師範代、44[守]以来2度目の登板の佐藤裕子師範代、そして石黒好美師範代のスリーレディースが担当する。
石黒は一方で一抹の不安を抱えていた。前回、師範代として登板したのは36守だ。その後、お題の大規模改編があり、「地と図」や「BPT」など見るのも初めてのものがある。
9月21日に行われた事前ガイダンス、石黒はZOOM越しにこの「不足」を華麗に読み替えて見せた。
自分も回答したことがないお題があるということは、私がいちばん学衆に近いということ。
石黒は意外な行動に出る。
登板を控えた師範代には「自主トレラウンジ」が設けられている。師範代は当ラウンジで、来たるべき開講に備え、準備や自主トレに励む。石黒は事前ガイダンスのその日の深夜、突如、〔指南歓迎自主トレ〕というスレッドを立ち上げたのだ。
「ここに回答をあげていきますので、気が向いた方は指南をつけていただけたらうれしいです」
石黒は、サッと学衆に着替え、001番から回答を連打し始めたのだ。
これに即応したのが、「速修スリーレディース」の佐藤だ。翌朝、テンポ良く指南を返して見せた。しかも、「石黒さんの短期集中回答を総取り横取り指南寄って集って(ダブっても)みなさまぜひ♪」と他の師範代に呼びかけた。
感門之盟での代表挨拶も記憶に新しい大濱朋子師範代も、昼休みを使って応じた。本番さながらだ。石黒もちぎっては投げ、ちぎっては投げで回答を放る。その熱が伝播したのか、竹岩直子師範代、畑本ヒロノブ師範代、はらあやこ師範代、トミーこと國富敬二師範代、妹尾高嗣師範代もあとに続いた。
もちろん、48[守]指導陣も黙っていない。若林牧子番匠はこれを機と見て、「事件化」を試みた。石黒の果敢な挑戦はもとより、佐藤裕子の仲間を巻き込む呼びかけを「裕子師範代、いいぞ~」と取り出してエールを贈り、他の師範代の背を押した。
「一つの回答に対して、師範代によって方法の取り出しや表現が異なるのを共読できるのも、いい学びになるはず。どうぞどうぞ、みなさん続いてみてください」
師範代は他にも準備がてんこ盛りだ。その中で、仲間の回答に指南を送るのは、並大抵のことではない。
だが事件は起きた。48[守]の師範代はもう止まらない。この出来事は、来たるべき48[守]を加速させていくはずだ。
ガイダンスでの石黒の言葉には続きがある。
だから学衆と一緒に回答していきたい。
石黒は、これから門を叩く未知の学衆と一緒に、すでに走り出している。師範代と疾走する48[守]が、もうすぐ始まる。
角山祥道
編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。