外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
◇◇◇
ジュンク堂発祥の地、神戸・三宮店で始まった「知祭り」もスタートから三週間。燃え上がる夏の太陽に呼応するかのように勢いを増している。
■時を忘れる魅惑の空間

フェア会場は5階。自然科学系から人文系まであまねく取りそろえられた専門書の海の中、異質な存在感を放つ「知祭り棚」。
「知祭り」は一人一人のお客様の滞在時間が長いですね。普通のフェアだとさらっと流れるのですけど、今回は結構じっくりとみなさん見ていかれます。そこだけ異なる時間が流れているような。
(ジュンク堂三宮店店長 堀内理さん)
「とてもいい時間が流れている」堀内店長は今回のフェアをそう評価する。


広々とした空間で誰にも邪魔されずじっくりと本に向き合える。
■玄人集う三宮
三宮店は2~5階までの売り場総面積が1,364坪と、兵庫県で一番大きな店舗だ。「他の店舗にはない本もここなら手に入る」県下の読書人たちの期待を一身に引き受けてきた。
最初はお客様の絶対数は少ないという印象でしたが、徐々に売り上げも伸びており、今、確実に増えてきています。特に松岡正剛さんのファンの方をはじめとする読書熱の高いお客様にしっかり来て頂いていると実感しています。
(フェア担当 小寺啓史さん)


売れ筋は『情報の歴史21』。キーブックではアルベルト・マングェルの『読書の歴史』が売れているという。いずれも重量感抜群。熱量の高い読書家たちがフェアに訪れていることがうかがえる。


エディションは『仏教の源流』と新刊の『資本主義問題』がツートップ。特に『仏教の源流』が売れているのは意外だったとのこと。「奥に仏教書の棚があるのでその流れで足を止められたのではないか」と堀内店長は分析。

物語カテゴリーも好調。中でもヘルマン・ヘッセ『デミアン』の売れ行きが芳しい。普段以上に売れているとのことで「知祭り」効果が垣間見える。2冊の『人間人形時代』は新しく追加。本棚の様相も刻々と移り変わっていく。
■改造計画進行中
魅惑の空間はジュンク堂三宮店とイシス編集学校のコラボレーションで生まれた。現在も堀内店長、フェア担当の小寺さんの多大なる協力のもと、棚のリニューアル計画が進行中だ。

キーワードをもっと目立たせてはどうか?エディションの配置を動かすのは?等々、打ち合わせでは双方から意見が飛び交った。

棚の前でアイデアを出し合う堀内店長、小寺さんと編集学校のメンバー。
■いよいよ後半戦!
7/1に始まったエディションフェアも残り1ヶ月。抜群のタイミングで『資本主義問題』が投入され、ますます盛り上がりを見せている。堀内店長、小寺さんが後半戦へ向けて力強く意気込みを語ってくださった。
売り上げも客数もまだまだ伸びる余地はあると思っています。本の追加や入れ替えを随時行い、1回買っていただいた方にも、もう1回、2回と来店して頂けるような空間づくりを心がけていきたいと思います。(小寺)
今回のフェアはここまで想定以上できています。お客様の数も売り上げもいい感じに伸びてきているので、後半戦もフックになるようなものを投入し客数、売り上げ共に伸ばしていきたいです。(堀内)

(左)堀内店長、(右)小寺さん 最新エディション『資本主義問題』を手に。


書店入り口のエレベーター正面には鋭い眼光で来店者を射抜く松岡校長が。
ジュンク堂三宮店のエディションフェアは8月31日まで。あなただけの宝物に出会えるチャンスがここに。だんだんと変化していく「知祭り屋台」を見逃すな!

(左)マンガのスコアで活躍中、堀江さんのお気に入りは『サブカルズ』と『観念と革命』
(右)取材を担当した辻井のお気に入りは『宇宙と素粒子』と『デザイン知』

今回の打ち合わせに参加した編集学校メンバー(左から堀江、吉野、辻井、写真撮影は木藤)
文:辻井貴之
写真:木藤良沢
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エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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