目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、第33弾は山梨県のジュンク堂書店岡島甲府店。フォトレポートを届けてくれるのは開催店舗の多い山梨県内の取材を一手に引き受けられたイシス編集学校師範代の内田文子さんです。
◇◇◇
甲府駅から南東に8分ほど歩いた先にある甲府の中心街。江戸時代は甲州街道の柳町宿と甲府勤番士の屋敷などがあり、現在も市役所や裁判所といった官公庁と銀行の本店と縦横に伸びる商店街で構成されている。エディションフェアでご紹介した柳正堂書店と朗月堂書店も、もとはこのエリアに本店をかまえ、切磋琢磨していたと聞く。甲府の中心街は知の中心街でもあったのだ。

「皆様の岡島百貨店」として地元住民に愛されている

岡島百貨店周辺は、碁盤の目のように張り巡らされた通りが広がり個性を演出している
「皆様の岡島」というキャッチコピーは、山梨にゆかりのある者なら誰でも耳にしたことがあるだろう。ジュンク堂が入る岡島百貨店は、甲府の中心街における商業の中心プレイヤーであり、現在は県内唯一のデパートである。
車社会において、江戸時代からつづく細い路地が連なる甲府の中心街は少々敷居が高い。それでも何かがあると期待して、甲府市民は中心街を訪れる。2011年に岡島百貨店6階にオープンしたジュンク堂書店岡島甲府店は、その期待に応えてくれるお店のひとつだ。

6階のほぼワンフロアに広がるジュンク堂書店。広さに圧倒される
フェアは、レジ横の特設コーナーで展開されている。松岡校長のファンが少なくないのか、記念冊子がさっそく売れたそうだ。

レジ横の特設スペースにエディションフェアが展開される。
向かいの通路には新刊やおすすめ本のコーナーが並ぶ
高木店長と人文芸術ご担当の古屋さんは、「エディション本はお客様がすでに持っていらっしゃるのかもしれない」と語られ、関連本の動きに注目される。

テキパキとした語り口が印象的な高木店長

人文芸術ご担当の古屋さん

おふたりからは「松岡さん、カッコいいですね~。アニメに出てきそう♪」というチャーミングなコメントもいただいた
地元資本の書店がそれぞれのアイディアで棚を個性的につくっていける自由を持つのに対し、ジュンク堂書店は山梨における本のデパートであり続けることを運命づけられている。山梨では圧倒的に広い面積を誇る大型書店といわれても、今日の出版点数からみたら面積も顧客もぜんぜん足りないのかもしれない。
多くの地元プレイヤーが去った後に山梨に来たジュンク堂書店は、重心があちこちに広がった山梨の知の中心を今日も守ってくれている。
文・写真:内田文子
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【このエディションフェアがすごい!39】ジュンク堂書店岡島甲府店
【このエディションフェアがすごい!38】MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店
【このエディションフェアがすごい!37】知遊堂上越国府店(新潟県上越市)
【このエディションフェアがすごい!36】MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!35】朗月堂書店(山梨県甲府市)
【このエディションフェアがすごい!34】ジュンク堂書店柏モディ店(千葉県柏市)
【このエディションフェアがすごい!番外編】ジュンク堂書店難波店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!32】柳正堂書店 オギノバリオ店、甲府昭和イトーヨーカドー店(山梨県)
【このエディションフェアがすごい!31】田村書店千里中央店(大阪府豊中市)
【このエディションフェアがすごい!30】紀伊國屋書店新宿本店
【このエディションフェアがすごい!29】ジュンク堂書店郡山店
【このエディションフェアがすごい!28】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)②
【このエディションフェアがすごい!26】敷島書房(山梨県甲斐市)
【このエディションフェアがすごい!25】ジュンク堂書店大阪本店
【このエディションフェアがすごい!24】ch.books(長野市)
【このエディションフェアがすごい!22】ジュンク堂書店吉祥寺店(武蔵野市)
【このエディションフェアがすごい!19】丸善津田沼店(千葉県習志野市)
【このエディションフェアがすごい!18】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)
【このエディションフェアがすごい!17】ジュンク堂書店大分店
【このエディションフェアがすごい!16】ジュンク堂書店難波店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!15】ジュンク堂書店三宮駅前店(神戸市)
【このエディションフェアがすごい!14】長崎次郎書店(熊本市)
【このエディションフェアがすごい!13】スワロー亭(長野県小布施町)
【このエディションフェアがすごい!10】ジュンク堂書店名古屋店
【このエディションフェアがすごい!09】ジュンク堂書店鹿児島店
【このエディションフェアがすごい!07】ブックセンタークエスト小倉本店
【このエディションフェアがすごい!05】りーぶる金海堂クロスモール店(宮崎市)
【このエディションフェアがすごい!03】ジュンク堂書店池袋本店
【このエディションフェアがすごい!02】ジュンク堂書店福岡店
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エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。
2026-03-05
かつて「大人マンガ」というジャンルがあった(詳しくは「マンガのスコア 園山俊二」参照)。この周辺には、ファインアートと踵を接する作家たちが数多く存在する。タイガー立石もその一人。1982年、工作舎から刊行された『虎の巻』は、まさしくオトナのためのマンガの最極北。いいお酒といっしょにちびちび味わいたい。