発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

season07・夏のBQは「ノンフィクション」に決まった。「夏」「B」「Q」の文字が踊って見えたからといって、これはもちろん「バーベキュー」の話ではない。それはB・B・Q。そもそも「B」が一字足りない。
BQとは多読ジムのブック・クエスト(Book Quest)のこと。トレーニングのスタートと同時に数十冊の厳選ブックリスト(BL)が配信され、そこから三冊選び、さらに三冊、さらに三冊、さらに三冊…というふうに「本から本へ」と本をつなげていって、最後はヴァーチャル本棚をつくるのがBQ。そのBQのBLのテーマがNFに決まったというわけだ(「ハヤカワ文庫NF」「光人社NF文庫」など「ノンフィクション」は「NF」と略すことがある)。
これまでBLのテーマは、先達文庫や科学道、米原万里や須賀敦子のブックガイドというふうに続いてきた。今回のように「ノンフィクション」と”どストレート”に本のジャンルをそのままあつかうのはお初のこと。が、考えてみればクエストというだけに、冒険するように本をめぐるBQと「ノンフィクション」はまちがいなく相性がいい。どんなBLが飛び出してくるのかは開講してからのおたのしみ。
夏のエディション読みは『文明の奥と底』。えっ、ノンフィクションからの『文明の奥と底』…攻めに攻めまくっている。まさに『闇の奥』(Heart Of Darkness)のような、『地獄の黙示録』(Apocalypse Now)のような、あのじと〜っとした、湿気ムンムンの雰囲気を思い起こさせるけれど、時には「攻める夏」というのも、それはそれで忘れられない、ハート・アンド・ソウル(Heart and Soul)。夜が待てない、”真夏の果実”になるかもしれない。
ノンフィクション、『文明の奥と底』と来て、トドメの三冊筋プレスのテーマは何かというと、なんと「笑う三冊」。とんだドンデン返し、ちゃんとオチが待っていました。三冊筋プレスは各自の自由選書。「笑う本」と聞いて、みなさんならどんな本を思い浮かべますか。私からは新鋭気鋭のギャグ漫画家・和山やまの『カラオケ行こ!』(ビームコミックス)をレコメンしておきます。和山さんが一挙に大注目されたデビュー作『夢中さ、君に』もオススメ。まさにまさに「四六時中も好きと言って、夢の中へ連れて行って」的な正統派ギャグ漫画です。
この際だから、BQのBLもナイショで一冊だけ情報漏洩します。そうですね、こちらなんていかがでしょう。石弘之『砂戦争 知られざる資源争奪戦』(角川新書)。石弘之さんは校長も”大の石ファン”と語る環境ジャーナリストで、昨年の11月に本楼で開催されたHyper-Editing Platform[AIDA]第二講にゲスト講師として参加した。ちなみに石弘之さんの弟の石和久さんはおしゃべり病理医・小倉さんのお師匠さん。石(イシ)さんだけに、イシスとはいろいろご縁があるのでしょう。
『砂戦争』(角川新書)、『文明の奥と底』(角川ソフィア文庫)、『カラオケ行こ!』(KADOKAWA)。すでにお気づきの方もいるかもしれないが、実はこの三冊、新書・文庫・マンガのDONDEN読みセットになっている。しかもKADOKAWAシバリ。今年の夏はこの三冊でキマリダ。
Info
◉多読ジム season07・夏◉
∈START
2021年7月12日(月)
∈MENU
<1>ブッククエスト(BQ):ノンフィクションの名著
<2>エディション読み :『文明の奥と底』
<3>三冊筋プレス :笑う3冊
∈URL
∈DESIGN the eye-catching image
穂積晴明
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。