空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

短冊に願いを込めて、林頭 吉村堅樹が数年ぶりに学校説明会(7月2日・本楼)に帰ってきた。久しぶりのリアル説明会だという。そうはいっても首を負傷しようとも、台風が直撃しようとも、エディットツアー(編集ワークショップ)に立ち続けた男である。イシス入門は学校説明会が決め手だったという師範代 黒澤朋子を織姫に指名し、自身は彦星よろしく登壇した。
林頭の「久しぶりだ」の言葉に誘われて、カメラを抱えて駆けつけた。10shotシリーズ、初めての学校説明会に潜入です。
本楼を訪れた参加者の目を惹くのは天井まで配架されている図書空間。本楼を見るために遠方から駆けつけてくる参加者もいる。2万冊の本がどのように並べられているか、知の空間をマッピングしてご案内する。
この日のテーマは “ざくざく短冊 学校説明会”。「蜂を飼いたい」「原稿を早く仕上げたい」「もっと涼しくなりますように」…… 短冊に願いを書いてまずは自己紹介。
「編集」と「編集術」と「編集工学」の違いは? 入門者には絶必の『知の編集術』(松岡正剛・講談社現代新書)を共読し、編集という言葉の意味を広く捉え直してまずはウォームアップ。
「みなさんがさっき書いた願い事も《ないもの》なんです」
吉村は《ないもの》には3種類あると説く。『知の編集術』の一節「編集は不足から生まれる」を引いて《ないもの》から編集ははじまるとプチレクチャー。短冊に願いを書いたところから既に編集ははじまっていたのだとフセられていたものをアケていく。
情報編集の基礎の基礎を手渡したらいよいよ編集ワーク。この日は[守]コースの名物お題「ミメロギア」を即興で行う。「ミメロギア」とは校長松岡正剛が古代ギリシアの編集技法「ミメシス(模倣性)」と「アナロギア(類推性)」をかけあわせて編み出したエディトリアルゲームである。ルールはシンプル。並んだ2つの言葉に対角線を引き「類似」と「対比」を際立たせること。シンプルなゲームながらも「編集とは関係の発見である」という骨法に触れることができるのだ。
参加者の回答には師範代 黒澤が即指南をつけていく。編集稽古は、お題→回答→指南 のサイクルで行う。通常の編集稽古はオンライン上でテキストで交わしあっていくが学校説明会ではリアルでその一端を味わうことができる。
ISIS編集学校のコースは[守][破][離]、[ISIS花伝所]、[物語講座]、[多読ジム]など6つの編集術コース、3つの読書術コースがある。入門者はまず基本コース[守]からスタートする。
「編集に興味がある」「本楼に一度は行ってみたい」「編集学校、ずっと気になっていたけど・・」「松岡正剛のファンなんです」など動機はなんだって構わない。まずは学校説明会へ足を運んでみてほしい。
(なお、学校説明会の内容は回によって”編集”します)
9月17日(土)14:00 – 15:30
10月8日(土)14:00 – 15:30
場所:編集工学研究所(ブックサロンスペース「本楼」)
世田谷区赤堤2-15-3 [地図]
参加費:無料
どうぞお早めにお申し込みください。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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