『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。

エリック・サティのジムノペティが静かに流れる店内に続々と人が訪れる。8月12日、猛暑のお盆最中に総勢24名が集まり、席はすぐに埋まった。
エディットツアースペシャル名古屋会場はちくさ正文館書店二階の旧モノコト。午後2時定刻通り、進行役小島伸吾の挨拶から始まった。たっぷり40分間、正文館書店主・古田一晴さんの本棚論を聞くことができる。
冒頭、小島が古田さんに書店員になったきっかけの話をふると、独特の古田節が堰を切った。まさしく一気呵成だ。田中泯とのコラボの話から伝説の網野善彦の歴史ブックフェアの話、大型書店進出以降の読者層の変化のことから映画の話まで、本の話にとどまらないのが古田棚論なのだ。
最後に古田さんはその奥義の一端を開闢してくれた。「棚はつねに動かして、本に触っていることが大事。俺個人の本棚であると同時に客の本棚でもあるんだよ。棚は共謀してつくるんだ」とニヤリ。アーティストよりも過激なタナリストの眼が光った。
小島
編集的先達:葛飾北斎。名古屋の旦那衆をつなげる面影座主宰。クセのある中部メンバーを束ねる曼名伽組二代目組長。本業は豆に定評のあるヴァンキコーヒーロースター代表。セイゴオ版画も手がける多才な情熱家。
【Playlist】 独然アート ぼくはエディストを好きに見てきた 小島伸吾選
「筆墨ノ場ノ逸民」であるテッサイと同じ誕生日の 「本楼ノ場ノ逸民」であるセイゴオに捧げる。 私然―半然、公然―混然、見然―読然、偶然にして愕然。 エディストはずっと前から独然アートだったのである。 &nbs […]
名古屋には、独特なノーマルを自負する文化があります。 ときに、それはフツーとか中途半端とか、魅力のない都市no.1とか揶揄されたりしますが、じつはこれは「やつし」の編集術だったのです。 「やつし」とは「やん […]
「三絃の面影~熱田白鳥で端唄をあそぶ~」 “記憶と想起”の面影座
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まるで大工の親方のような風貌だが、奏でる三味の音は繊細だ。その裏声は艶やかで官能的だ。 松岡校長に“日本の宝”と云わしめた本條秀太郎の端唄を聞きに豊田能楽堂に行く。すでに本楼での「イシスフェスタ」や校長 […]
コメント
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2025-10-15
『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。
2025-10-14
ホオズキカメムシにとってのホオズキは美味しいジュースが吸える楽園であり、ホオズキにとってのホオズキカメムシは血を横取りする敵対者。生きものたちは自他の実体など与り知らず、意味の世界で共鳴し続けている。
2025-10-07
「ピキッ」という微かな音とともに蛹に一筋の亀裂が入り、虫の命の完結編が開幕する。
美味しい葉っぱをもりもり食べていた自分を置き去りにして天空に舞い上がり、自由自在に飛び回る蝶の“初心”って、いったい…。