宮谷一彦といえば、超絶技巧の旗手として名を馳せた人だが、物語作家としては今ひとつ見くびられていたのではないか。
『とうきょう屠民エレジー』は、都会の片隅でひっそり生きている中年の悲哀を描き切り、とにかくシブイ。劇画の一つの到達点と言えるだろう。一読をおススメしたい(…ところだが、入手困難なのがちょっと残念)。

「しゅはりよし」を知っているだろうか。帝京大学読書術コース「メクリ」を統括する田中晶子花伝所長が生み出したアウトプットのための型である。
メクリでは、松岡正剛校長の目次読書術、マーキング読書術を体験しながら、1冊の本を読破する。最終的なアウトプットは、200字のリコメンド文とキャッチコピー。それを本の帯としてデザインする。
「しゅはりよし」の「しゅ」は主題、「は」は背景、「り」は理由(著者の意図)、「よ」は読み(共感や発見)、「し」は紹介。それぞれの頭文字をとったものである。型に従って進めると、構造的に本の理解が進み、読書量の少ない大学生でも帯の文章を書くことができる。
[守][破][離]のコース名を組み込んだネーミングは、イシス編集学校が大好きな所長の思い入れを強く感じさせる。現在、「メクリ」は一般向けには講座をオープンしていない。花伝所放伝以上であれば共読ナビゲーターとして「しゅはりよし」を体験することができる。
五味久恵
編集的先達:アストリッド・リンドグレーン。小動物系のルックスとは裏腹に、強気かつ繊細、大胆かつ緻密。アジャイル編集指南は五味モデルといわれる。東京日本橋で育った。夫は師範の阪本裕一。二児の母。
年間1000人が受講するイシス編集学校の最大講座。2011年から続く帝京大学・共読ライブラリープロジェクトの1つで、読書術コースのメクリである。 今年度の春期は新入生約650名が対象。2019年5月20日〜6月13日 […]
コメント
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2025-09-18
宮谷一彦といえば、超絶技巧の旗手として名を馳せた人だが、物語作家としては今ひとつ見くびられていたのではないか。
『とうきょう屠民エレジー』は、都会の片隅でひっそり生きている中年の悲哀を描き切り、とにかくシブイ。劇画の一つの到達点と言えるだろう。一読をおススメしたい(…ところだが、入手困難なのがちょっと残念)。
2025-09-16
「忌まわしさ」という文化的なベールの向こう側では、アーティスト顔負けの職人技をふるう蟲たちが、無垢なカーソルの訪れを待っていてくれる。
このゲホウグモには、別口の超能力もあるけれど、それはまたの機会に。
2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。