巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
誰がどんな文字を入れるかは知らないが、入れてみたら確かにつながる「空文字アワー」のお時間がやってまいりました。
どこかのテレビ番組のパロディかと思しきこの企画は、守稽古の用法1が終わる頃に毎期開催していた教室全員参加の勧学会イベント、「寄せ書き大会」のリニューアル版だ。今期は、2019年11月10日からスタートし、稽古そっちのけで参加する学衆があちこちに現れた。
リニューアル版への変更は、44[守]の師範会議がきっかけだった。[守]のアワードである番選ボードレールが2回に増えるため、寄せ書き大会を継続すべきかが議題となった。ファンも多かった企画なだけに無くしてしまうのはもったいない。でも、どうせ継続するなら新しい編集も試してみようと、新ルールが加わった。指導陣は念入りに回答実験も行い、新しい言葉ゲームを完成させた。
新ルールはこうだ。
ある簡単な文に( )空白をつくる。
ここに言葉を入れ、さらに( )を加えていく。
次の人も同じことをする。これを全員で繰り返していく。
ゲームの模様を一部ご紹介しよう。
●二歩三歩教室 中山有加里師範代
【中山】 険しい道を高い竹馬で歩いた( )。
【学衆1】険しい道を高い竹馬で( )歩いた去年の耐寒登山。
●ドラミ助太刀教室 松永惠美子師範代
【学衆1】 魔法使いが( )ネコが看板娘役のカフェにファーの
付けしっぽをふりふりあらわれた。
【学衆2】 魔法使いが殺された現場からネコが( )看板娘役の
カフェにファーの付けしっぽをふりふりあらわれた。
険しい道は更に険しい登山に変わり、魔法使いは殺人事件へと展開。
教室らしさが現れたり、極端な飛躍があるのもゲームの魅力だ。
以前は、ある一文に次々と言葉を入れていけばよかったのだが、
新ルールでは、言葉を入れる場所( )が指定されることにより、
次の人は場を託され、ともに言葉をつむいでいく感覚を味わうことになる。
( )をどこに置くかという選択も先の行方を左右する。
空白を埋める物語、行き着く先に空は広がる。
林朝恵
編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。
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