『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
今回の伝習座では、師範代に新たなお題が与えられていた。
自分史を1枚に図示するビジュアルクロニクルの作成である。グラフィックデザインを生業とする野嶋真帆番匠が杉浦康平さんの『味覚地図』『時間のヒエラルヒー』も使いながら、お題のねらいを説明する。
「一般的な歴史の読み方をテキストからグラフィックに移すことで、別の読み方を発見できることを実感して欲しい」。
野嶋番匠による師範代のビジュアルクロニクルへの指南は、穏やかな口調ながら鋭い全体講評から始まった。
「それぞれに工夫がされているが、オーダーや流れが読み取りにくく、クロニクルになりきれていない」。
一枚の絵としてまとめるだけでなく、クロニクル=年代記として読める図象にする意識の必要性を説く。
「一本の糸でなく、複数の糸を縒り合わせることで歴象のつながりを見せてはどうか」
「もう少しで杉浦康平レベル。けれども、流れが分かりにくい」
「面白い歴象なので、テキストを強調しないともったいない」
「メタファーを使うのであれば、その必然性を際立たせた方がよい」
野嶋番匠の身体化された方法が言葉として再編され、具体的なアドバイスとして手渡されていく。これらのアドバイスを受け、師範代のビジュアルクロニクルは汁講や勧学会でお披露目を目指し、さらに磨きがかけられる。
このお題は48[破]から番外お題「全然アートなわたし」として出題されており、今期も学衆はビジュアルクロニクルに挑戦できる。多様な自分史図像の共読が楽しみな49[破]になりそうだ。
写真:後藤由加里
▼49[破]残席僅少
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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コメント
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2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
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2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。