自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
4月スタートの「多読ジム」の新シーズンテーマは「歌う3冊」。2023年3月18日の感門之盟では、「歌う一冊」を参加者から募集し、司会者がその場でインタラクティブに応じる特別企画「多読共読跳走ワーク」が開催された。
司会はイシスの「バニー新井」こと新井陽大(あらいあきひろ)である。軽快なトークが持ち味の新井は、司会・長島順子の「バニーということは、ある意味年男?」というフリに、「本当は酉年ですが、バニーに擬いて年男ということで」と即応し、会場の笑いを誘う。

多読とは多様性を読むこと。一冊でも様々な切り口で読めば「多読」になる。百冊読んでも同じような読み方しかしないなら「一読」でしかない。多読ジム名物の「三冊筋プレス」では3冊の本を様々な切り口でエディション読みしていく。そのプロセスは筋トレに近いが、鍛えるのは「読」筋。筋トレと同様に、トレーニングは続けることが何よりの秘訣。継続するうちに「読筋」の変化を確実に実感できるようになる。
ワークでは「あなたの思う歌う一冊」を本楼とZoomの参加者に選んでもらい、なぜそれを選んだのかを語ってもらう。そのメロディに新井がハモリながら、新たな歌を生み出す「響」読に挑戦する。
「忙しくても鼻歌が歌えるゆとりを持っていいよ」と励ましてくれた本を紹介する人。入院中に光と風と匂いしか受け入れられず、「唯一読めた」という詩集を挙げた人。一冊に込められた物語は人それぞれだ。
バニー新井はひとりひとりが本に出会い、響き合うに至るまでの背景に素直に感動しながらも、「鼻歌は人間らしさの象徴」「歌は原型に絡んでいるのでは」と[破]師範もつとめた新井らしく「型」で応じ、偶然寄せられたそれぞれのメロディを、必然のハーモニーへ仕立てあげた。
会場から寄せられる一冊と物語を次々に響かせていく新井(左・中央)。Zoomからの参加者に対して、手元のiPadに覗き込むようにして誠実に応じる姿も(右)
「紹介された本を読みたくなった」「私だったらこう歌いたい」「もっと色々な歌い方を知りたい」といった多様な読書の方法があちこちで共振する多読共読跳走ワークになった。
「多読ジム」は、[破]講座を修了した突破者であれば誰でも受講可能。新しい春シーズン、多読ジムがあなたを待っています。
★春シーズンの多読ジムの詳細はこちら★
【多読募集】ボウイと歌え、サブカルズで遊べ season14・春
(編集:上杉公志)
清水幸江
編集的先達:山田孝之。カラオケとおつまみと着物の三位一体はおまかせよ♪と公言。スナックのママのような得意手を誇るインテリアコーディネーターであり、仕舞い方編集者。ぽわ~っとした見た目ながら、ずばずばと切り込む鋭い物言いも魅力。
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コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
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泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。