『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
ガラス扉が開かれると、薄闇の樫山代官山ギャラリーに光が差し、松岡正剛がそろりと現れた。ささやく声に蝉の声が戯れる。聴衆はじっと静かに耳を傾けた。
2020年8月28日、丸善創業150周年記念講演会にて松岡は千夜千冊の秘密について語った。講演原稿はA4用紙15ページ。前日リハに間に合わせるべく明け方までかけて書き上げた。本番の語りでは更に変更が加えられ、その場に集うスタッフにとっても新しい発見が散りばめられていた。振り返れば、3回にわたり行われたフルのリハーサルの度に松岡は原稿を変更してきた。毎回スタッフに意見を求め、その反応によって編集をかける。本番のようなリハーサルを繰り返してきた松岡はこう語る。
「これで大丈夫と思っても、何かもうひとつ本番は起こらないとダメなんだよ」
稽古と本番の「間」では何かを起こそうとし続けることがマジックを起こす秘訣なのかもしれない。
本番当日に記録用カメラで撮影したトワイライトな動画の一部をお届けします。配信されたものとは違った角度の映像がご覧いただけます。
※音声に一部聞き取り辛いところやノイズがあります。ご了承ください。
動画:林朝恵、写真:後藤由加里
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おしゃべり病理医 編集ノート - トワイライト色のソーシャル・ディスタンス
林朝恵
編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。
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コメント
1~3件/3件
2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。