そうかー、おやつにもダブルページが潜むことがあるのだな、と感服しつつ、心は陽春の野山を駆け巡る。軽やかに舞い降りては、ふんわり翅を開くダブルページたち。秀逸は、ブックデザイナー顔負けのイシガケチョウ。
「大丈夫かな。みんなに伝わっているかな」。
輪読座「世阿弥を読む」の第一輪(第一回)を終え、輪読師・高橋秀元、通称バジラ高橋がつぶやいた。オンライン輪読座に戸惑いを隠せない。
イシス編集学校唯一のリアル講座として長年開催していた輪読座だが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、初めての完全オンライン開催となったのだ。
今まではバジラの目の前に輪読衆がいて、輪読衆の反応や質問に呼応した知を編集して手渡していた。しかし今回、バジラの目の前にあるのは、2台のカメラとオンライン参加する輪読衆が映し出された画面のみだった。雑音が入らないようにと、輪読衆はマイクをミュートにしており、相づちの言葉も聞こえない。

参加者の呼応のない静かな本楼だが、バジラの知の波は止まらない。父、観阿弥の至芸の世界観を、世阿弥が極上の編集で『風姿花伝』にどのように記していったのか。観世座を保つための猿楽能基盤「条々三位一体」と「猿楽座心得」を重ねたバジラ特製図像で『風姿花伝』にある世阿弥の編集を読み解いていく。

イシス編集学校20周年に合わせ、満を持しての世阿弥にバジラの気合はひとしおだ。
それを感じたのか、画面に並ぶ輪読衆の集中が高まる。その面々はイシス編集学校の学衆だけでなく、師範、師範代、なんと三津田知子花伝所花目付に田中晶子花伝所長とオールスター。
参加者が少なかったり、リアル開催ができない感染症の影響があったりと、輪読座に数々の開催の危機があったことを感じさせない盛況ぶり。オンラインながら参加者は30名を超え、イシス編集学校の師範代になるための花伝所を受講しつつ輪読座もあわせて参加している人も多い。これぞ「稽古条々」「稽古は強かれ、情識はなかれ」だ。『風姿花伝』こと『花伝書』に肖ったイシス編集学校の花伝所には世阿弥の精神が息づいている。
松岡正剛校長は花伝所を「既存社会の価値観が忘れられている今、世の中にない価値がある」と語る。師範代という新しい才能を発信し続ける花伝所の根底にあるのは世阿弥の心なのだ。
世阿弥の型を読みあう輪読座。第一輪は、動画と資料でキャッチアップできる。この機会を逃してなるものか。輪読座第二輪は『風姿花伝』以後、世阿弥の四十代から六十代までの熟慮の成果を集成した『花鏡』を読みあう。間もなく5月31日に開催だ。知の古を稽えたいのなら、ぜひ飛び込んでみてはいかがだろう。
詳細はこちらから。

衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
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2026-03-24
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2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。