私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

「松岡校長は、います!」
鈴木康代(学匠)は、卒門式の冒頭で声を大にした。学衆は訝しんだのだ、「松岡正剛校長は偉大すぎます。ほんとうにいらっしゃるんでしょうか」と。
今期47[守]のダンゼンな特徴は、どうしてイシスの仕組みごと気にする学衆が多いということだった。師範代の指南がすごい、師範の応接がすごい、というその断点から全部の仕組みを見ようとする視野の高さが光った。
鈴木は、1週間前に更新された1780夜『エゾテリズムの思想』に記された「非合理なものがとても気になる」を引用しながら、今期の探求意欲を讃えた。
▲福島から、昨夜新幹線で駆けつけた鈴木。
「イシスに入って辞書を2冊買いました。子どものころは辞書を引くのが好きでした。でもそれを忘れていたんです」という学衆の声をエモーショナルに語り直し、司会川野が切なさに胸を詰まらせた。イシスの稽古に、本は欠かせない。
第77回感門之盟「DAN ZEN イシス」で、47[守]を終えた師範代21名に「先達文庫」が授与された。編集学校では一期を全うした師範代に、松岡校長が自ら本を選んで贈る。師範が師範代をねぎらう感門表を授与し、先達文庫を託された鈴木康代学匠が、師範代を称えながら一冊一冊手渡していく。
▲画伯堀江による「進撃の巨人セイゴオ」に見守られながら、文庫を受け取る田中。
◆皆川滋師範代(谷中エッチング教室)
『無心ということ』(鈴木大拙/角川ソフィア文庫)
◆清水幸江師範代(一客一亭教室)
『シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー』(シモーヌ・ヴェイユ/河出文庫)
◆柳瀬浩之師範代(ジャイキリ魔球教室)
『波紋と螺旋とフィボナッチ』(近藤滋/角川ソフィア文庫)
◆田中香師範代(縞々BPT教室)
『うたの動物記』(小池光/朝日文庫)
◆中村慧太師範代(どんでんコマンド教室)
『クォンタム・ファミリーズ』(東浩紀/河出文庫)
◆竹川智子師範代(カンブリア一群教室(速修))
『ピタゴラスと豆』(寺田寅彦/角川ソフィア文庫)
◆関口泰由師範代(グッチ金輪際教室)
『観音さま』(鎌田茂雄/講談社学術文庫)
◆北條玲子師範代(ピアソラよろしく教室)
『小さき者の声』(柳田国男/角川ソフィア文庫)
◆長島順子師範代(柄々八犬伝教室)
『生命誌とはなにか』(中村桂子/講談社学術文庫)
◆中原洋子師範代(アレンジ万端教室(速修))
『<脳と文明>の暗号』(マーク・チャンギージー/ハヤカワノンフィクション文庫)
多読冊師を兼任しながら速修コースを率いたジャズシンガー中原は「編集に恋をしましょう」と美しく歌いかけ、タンゴダンサー北條は、書けないことを書こうとする学衆から回答が届くことがあまりにも幸せだったと涙を拭った。
写真:上杉公志
文:梅澤奈央
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。