ISIS 20周年師範代リレー [第43期 阿曽祐子 どろんこ遊びのごとく学び遊ぶ

2021/12/20(月)09:30
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

平成31年4月30日、第125代天皇が皇位継承、第126代天皇が即位した。と同時に、元号が平成から令和に変更され、日本は新しい時代を迎えた。世界では、2回目の米朝首脳会談がベトナムで行われ、米国大統領が初めて北朝鮮入り。香港では民主化デモが勃発、英国議会ではEU離脱が三度目の否決、ジョンソン首相が辞任。既存の流れを変えようと世界は地殻変動を起こしていた。

 

ちょうどこのころ、イシス編集学校では第43期[守]がスタートした。新しいウェブメディア「遊刊エディスト」立ち上げ準備のまっただなかでもある。この時、師範代として初登板したのが阿曽祐子師範代だ。松岡正剛校長から授かった教室名「どろんこコクーン」をこよなく愛し、土に触れ、大地に寝そべるフェチぶりを発揮。おさなごころ満載に、学衆がすくすく育つ教室環境をつくっていった。帰国子女のため自身の日本語力を気にしつつも、いちずに努力家ぶりを発揮し、めきめきと力をつけていった。花伝所では、もくもくと最後までやりきる姿勢が印象に残る。14[離]を経て、いまや初の師範ロールを担う存在だ。

 

他にも様々に編集力拡張に余念がない。世阿弥がテーマとなったころから輪読座に参加し、真摯にどんどんと図解を試す。また、関西の師範代の一人として、エディットツアーのオンラインサポートを行ったり、エディットツアーにご家族と参加したりと、積極的に編集力向上の機会をとらえて逃さない。どんな状況でも編集学校に関わろうとする深い情熱が、ますます阿曽師範代を輝かせている。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

「令和」の幕開けとともに、勢いよく編集稽古に飛び込んだ勇者たち。七夕の神々にミメロギアを捧げ、猛暑も、東京2020のソゾロもさておき、駆け抜けた。そして、おとづれた「エディスト」という新語。この言葉とともに、次の未知へ羽ばたいていったのだ。

 

>これからメッセージ>

あらゆる生命のもつメタモルフォーゼの可能性に、方法で編集的世界観を届けてゆきたいです。

 

どろんこコクーン教室 阿曽祐子

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

師範代は編集工学の語り部

1707夜 マリオ・バルガス=リョサ『密林の語り部』

…2019年5月03日

◎衣裳フェチを長じてフランスのモード界に旋風をおこしたヒト

1714夜 永瀧達治『エルテ 幻想の世界を生きたアールデコの寵児』

…2019年7月10日

⦿徹底した「編集一途」ぶりに校長が感心したというこの人を。

1716夜 A・スコット・バーグ『名編集者パーキンズ』

2019年7月25日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025