私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

37[花]プレワークは「千夜多読仕立て」が出題された。花伝師範達のお薦めをベースに深谷もと佳花目付がセレクトし、今期を捉えた10の千夜が、入伝生の旅支度だ。
37[花] 千夜多読仕立て 師範エディション10夜
1『枕草子』清少納言(419夜)[面影日本]
6『かくれた次元』(213夜)[編集力]
7『ミーム・マシンとしての私』(647夜)[情報生命]
9『エクリ』アルベルト・ジャコメッティ(0500夜)[全然アート]
10『異界を旅する能』(1176夜)[芸と道]
web版:『ワキから見る能世界』(1176夜)
このワークは、数日で10夜の千夜千冊を通読する。求められるのは、多読と高速要約。編集コーチ(師範代)の基礎鍛錬として、入伝生30名の共読が動いている。開講してたった数日の間に連打されるワークだが、出題されるや否や仮留め回答が踊り始めた。ある入伝生は先頭切って要約を投げ、これ位でいいやと満足することなく「ここから先へ突入する」と勢いづく。さらに思考の癖と向き合う者や、遊びモードを試す者など、花伝所はプレワークから沸騰中だ。
最初のお題でこれまでの稽古を振り返り、続くこのワークでは今期の花伝所のテーマやヴィジョンまでも提示されている。”後ろを見て前を見る”ひねりが生む回転力が、花伝所に向かう弾みをつけてゆく。
この厳選10夜は、入伝生に「あいだ」を仄めかし、「問い」を生む。「日本という方法」を能や武道から読み解く千夜から、情報文化の方法や仕組みの千夜へと、背中を押したり、橋渡しをしたり、方法の継承が今期もうごく。入伝生は、能のワキを擬いて学衆を異界に誘うか、大工を擬いて「編集棟梁」のノミを振るか、はたまたジャコメッティのように知覚と表現のあいだに分け入るか。10の千夜を薪にして37[花]の「終わりなき編集」が狼煙をあげている。
文 内海太陽(錬成師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
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コメント
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2025-07-03
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2025-07-02
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。