4月6日の伝習座の日、豪徳寺駅前の桜が満開だった。それから1週間あまり。52[破]の師範代たちは、花を散らす風よりも激しい錬破の渦中を進んでいる。
師範代は、伝習座でカマエと方法を大量にインプットしたのに続き、実践的な指南の書き方をリハーサルしている。師範代の集中稽古、エディットカフェ上の合宿状態だ。書き上げた指南には、師範から鳥の目虫の目で指導が入る。「師範代が自由だと思えるのが[破]の指南」とは校長の言葉。自由になるための回答の見方、指南の書き方という方法を錬磨しているのだ。
師範代が「壁」になったのが51[破]の潮流で、さらに崖とか断崖絶壁なんていう言葉もでたけれど、[守]を卒門した学衆のみなさん、怯えなくても大丈夫。その壁は、多様で多層な自分になり、私は世界をこう見ていると表明するための方法なのだ。
いまの世の中、だまっていてもコトは進む。なんでもいくつかの選択肢から選べばよい。ボンヤリしていると、あなたにはコレがおすすめです、と勝手に決められてしまうし、まあいいか、面倒だし、大差ないし…と判断を他者に預けているうちに、こんなはずじゃなかったセカイに連れていかれるかもしれない。編集を終えようとする世界に立ち向かうには、一人一人が自分をたくさんにして、編集する機会を逃さずに、声を上げていかなければならない。
52[破]の伝習座では、桂大介師範がクロニクル編集術を講じた。自分史を編集することは、過去を編集することだ。課題本の力を借りれば、硬直した自分史を再編集することができるし、いかようにも、なんどでも自分を編集できる。クロニクルは、「たくさんの私」を本格的なエディティングセルフにしてゆく稽古なのだ。
クロニクル編集術が大好き!という桂大介師範。会社経営、NPO運営、[離]の火元とたくさんの私を着替える。
文体編集術を講じた小林奈緒師範は、文体編集術の型なかでも「いじりみよ」の「み:見方づけ」を推す。トピックに対して書き手がどんな意味を感じているのか、読み手がいちばん面白く感じるのはここだ。他者と異なる自分の見方、考え方を打ち出せるようになりたい。みんなが一様だから安泰な世界より、多様な見方を交わし合える柔軟な世界。そのほうが愉快だし、大きな変化にも応じられるだろう。
見方づけを言い出すのには勇気がいる。学衆も師範代も勇気を出し合える[破]に、と願う小林奈緒師範。物語講座の師範代を2期つとめた。
[破]の稽古では、いろいろなテーマで文章を書く。初稿で自分の見方を打ち出すのは難しい。常套句に頼ったり、きれいな言葉でまとめたり、あるいは言いよどみ、言葉を濁したりもする。そこで師範代が差し出す「問い」こそが壁となる。自分の見方を鍛えるために、その自分をバージョンアップならぬバージョン増やしてゆくために、他者からの「問い」にはじまる相互編集がぜひとも必要なのだ。
52[破]の師範代は、厳しいから面白くなる、そんな壁をめざしている。師範代からの問いをうけて、再編集される自分、壁を破る自分、そんな自分が発する言葉に期待してほしい。
52[破]は4月22日に開講、まだ間に合う!
いま気になった? なら、滑り込め!!
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
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