本を求めて、人に出会えば【89感門】

2025/09/20(土)16:50
img JUSTedit

 本を買いに行ったのに、持ち帰ったのはワンピース。風が吹けば、三味線だ。人や本だけでなく、服にも思いがけない出会いがある。ハレやかな本楼空間に包まれる感門之盟で、阿曽祐子番匠の身体にひらめく一着を紹介しよう。

 

 京都の一乗寺に「恵文社」という本屋がある。その日、阿曽番匠は本を求めて、近江から京都へと赴いていた。訪れたのは「本屋」であり、当初服を買う気はなかったという。しかし「感門之盟で何を着るか」というお題がふわっと浮かんできた。

 

 阿曽番匠は、感門証授与の前半の司会ロールを担う。ひとりひとりの師範代を迎え、送り出し、思いに満ちた名場面をつないでいく。師範代のメッセージを受け、その瞬間におこる感応を言葉に変えながら。

 

 恵文社は、絵本や写真集、ZINEや雑貨、本の周囲の気配があるぬくもりのお店である。そこで、彼女は思いがけず、インドと近江出身の夫婦に出会った。ちいさな風に揺れる青柳のような緑色のワンピースは、夫婦の共同制作による一着だった。

 

 インドで紡ぎ織られた一枚の布が、日本で編集されて衣になる。その服を着ることは、インドのちいさな地域の工芸に参加することでもある。そして、両夫婦の切実な思いを纏い、師範代たちを言祝ぎたいと阿曽番匠は感じる。

 

 両夫婦がこの世に一着しかない服を仕立てるように、師範代と学衆は教室という唯一の世界を制作する。師範代スピーチは、壇上に咲く言葉の花。その周りには一面の緑が生い茂っていた。番匠の声には、異国から出遊する布の力とぬくもりがあった。

 

 阿曽番匠とたくさんの朝顔とともにJUST記者デビュー

 

アイキャッチ/福井千裕
文/北川周哉

 

  • イシス編集学校 [破]チーム

    編集学校の背骨である[破]を担う。イメージを具現化する「校長の仕事術」を伝えるべく、エディトリアルに語り、書き、描き、交わしあう学匠、番匠、評匠、師範、師範代のチーム。