「忌まわしさ」という文化的なベールの向こう側では、アーティスト顔負けの職人技をふるう蟲たちが、無垢なカーソルの訪れを待っていてくれる。
このゲホウグモには、別口の超能力もあるけれど、それはまたの機会に。

「編集が効いていないです。再提出!」
教室名フライヤー提出締切の翌日、ホッとひと息ついていた新師範代のところに、田中晶子所長[花]から檄が飛んだ。
登板予定の新師範代は、イシスを知らない人を入門へ誘うフライヤーをつくり、伝習座でプレゼンをする。松岡校長が名付けた教室名をつかっ
てどれだけ編集学校を魅力的に語れるか。師範代の編集力チェックともいえるこのフライヤーに田中からダメ出しが出たのだ。9月28日の伝習座でフライヤー発表の司会を担当する池澤祐子師範は間をおかずに推敲ポイントを届ける。
「北斎の絵をパロディアでつかうなら、もっとくっきりと!」
富嶽三十六景駿州江尻をフライヤー全面に敷いた、二歩三歩教室の中山有加里師範代への指導だ。中山をはじめ、18人の師範代全員が3日後の締切に再提出し、田中と池澤の期待に応えた。
しかし、伝習座当日、池澤の評価は辛い。
「前のほうがよかった」。
中山の顔から笑みが消えた。浮世絵から砂丘を人が歩く写真へと図柄を変え、「あしあとで差をつけろ」という教室名を踏まえたキャッチに自信があったのだろう。「北斎画と練った煽り文句とで編集稽古の道中の愉悦を伝えてほしかった」。さらなる編集を期待する池澤のコメントで、中山は師範の意図を了解した。
師範代と師範のあいだで交わす編集のモデル交換に遠慮はいらない。10月21日(月)、44期[守]が開講する。今度は、新師範代たちが学衆の方法の評価と不足を指南する番となる。
中山師範代のフライヤーBEFORE(左)/AFTER(右)
白川雅敏
編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。
54[破]第2回アリスとテレス賞大賞作品発表!アリストテレス大賞 高橋杏奈さん
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とびきりの読書社会到来の夢を見る。 54[破]開講を2週間後に控えた「突破講」でのことです。[破]に登板する師範代研鑚であるこの会は毎期更新をかけていくのですが、54[破]は、「編集工学的読書術」を実践した […]
53[破]第2回アリスとテレス賞大賞作品発表!アリストテレス大賞 小笠原優美さん
人生は物語である。人にはそれぞれの物語があるわけだが、ならば、物語など書く必要はあるのだろうか。 [破]には、3000字の物語を書く物語編集術がある。[守]の稽古を終えて卒門した学衆の多くは、この編集術に惹 […]
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映画『PERFECT DAYS』が異例のロングランを続けている。アノ人も出ている、というので映画館に足を運んだ。 銀幕を観ながらふと、52[破]伝習座の一幕を思い出した。物語編集術の指南準備として、師範代た […]
コメント
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2025-09-16
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2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。
2025-09-04
「どろろ」や「リボンの騎士」など、ジェンダーを越境するテーマを好んで描いてきた手塚治虫が、ド直球で挑んだのが「MW(ムウ)」という作品。妖艶な美青年が悪逆の限りを尽くすピカレスクロマン。このときの手塚先生は完全にどうかしていて、リミッターの外れたどす黒い展開に、こちらの頭もクラクラしてきます。