自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
秋の絵本を「その本を読むのにふさわしい明るさ」で3つに分けると、陽だまり・夕焼け・宵闇になる。
多読アレゴリア「よみかき探究Qクラブ」のラウンジに出された問い「本をわけるあつめる。するとどうなる?」への答えだ。
クラブでは、楽しみながら「型」を思い出し、よみかきワーク参加者が「無意識に行っている編集」に敏感になれるよう、[守]のお題を元にした交し合いをしている。
この回答を見ながら、第1回の創守座での名部惇師範の用法2解説を思い出した。「三間連結で次の状態に移るときには、相転移が起こっている」
陽だまり・夕焼け・宵闇の間にも相転移はあるのだろうか。絵本の並びを見るうちに、じわじわと相が見えてきた。「陽だまり」にはわくわくする本が、「夕焼け」には少し寂しくなる本が、「宵闇」にはおばけを想像して怖くなる本が並んでいる。それぞれで子どもたちが味わう「気持ちの相」が大きく変わっている。
同時に、わくわく・寂しい・怖いは、子ども時代に味わっておきたい気持ちの三位一体だということにも気づいた。
お題や型のとらえ方が広がると、言葉になっていなかった見方が出現することをクラブメンバーで分かちあう機会となった。
文/石井梨香(56[守]同朋衆)
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
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かなりドキッとした。「やっぱり会社にいると結構つまんない。お給料をもらうから行っておこうかなといううちに、だんだんだんだん会社に侵されるからつらい」。数年前のイシス編集学校、松岡正剛校長の言葉をいまもはっきりとはっきり […]
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コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
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2025-11-11
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