空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

79回感門之盟の後、“中空”に松岡正剛が鎮座する。
49[守]チーム中空プラント、忖度しないわ教室師範代の相部礼子(写真右)と男装いとをかし教室師範代の野住智惠子(写真左)との記念ショットである。[守]では、師範代と師範が教室運営のためにタッグを組むが、相部と野住はそこでのチームメイトだ。
普段ビジネススーツ姿の相部はその日、Tシャツ姿で本楼に現れた。胸には教室名かと思いきや、ちょっとちがう──忖度しないわ わたしたち。教室名は松岡校長から師範代へのお題と言われるが、相部がたどり着いた回答がこれだ。忖度がはびこりフラットになっていく社会に抗って、教室の学衆とともにヒダヒダをつくる別様の可能性へ向かうのだ、と。49守を走り切った相部の編集宣言である。そして、Tシャツの背中にはこれだ。
相部は、学衆が選んだ卒門ソングをタトゥーのように背中に刻み込んだのだった。
もう一方の野住である(写真左)。45守「すみれの花咲く教室」で初登板、49守「男装いとをかし教室」で再登板を果たした。2つの教室名の対角線が教えるとおり宝塚好き。それが高じて、舞台撮影カメラマンから舞台プロデューサーへと駆け上がった舞台人である。
感門の舞台で「カメラは『視線』」と、野住は、自らが教室に向けたカーソルを写真見立てで語った。「装って参りましょう」との師範代の演出に学衆は変容しつづけ、師範代は真夜中にシャッターを切りつづけた。
野住のカーソルは松岡校長にも。伝習座でもシャッターチャンスを逃さない。
日本神話にはあえて大事なことが書かれていない──その「中空」構造が日本らしさである、と仮説した河合隼雄に肖ったチーム中空プラント。方法日本の提唱者、松岡正剛に、教室のプロフィールを届けて、相部と野住の49守は幕を閉じた。
白川雅敏
編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。
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コメント
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