【予告篇】2022新年は「青馬」におまかせ! 多読ジム season09・冬

2021/11/11(木)15:38
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金宗代(以下「金」):じゃじゃん、来年2022年1月にスタートする多読ジム season09・冬のお題目が決まりました!

 

 <1>ブッククエスト(BQ):先達文庫 感門77

 

 <2>エディション読み   :『全然アート』


 <3>三冊筋プレス     :青の3冊

 

「ブッククエスト」は、ジム恒例の【先達文庫】(感門77)、エディション読みは最新刊の【全然アート】、「三冊筋プレス」は【青の3冊】。この三冊筋の【青の3冊】にちなんで、今回の予告記事は特別ゲストをお招きしました。

 

お名前に「青」の漢字をもつ、多読師範の米川”青”馬さんです。にしても、「青馬(はるま)」さんって珍しいお名前ですよね。


米川青馬(以下「青」):僕は1月3日生まれなんですが、「青馬」は中国語で白馬を指し、正月に青馬=白馬を見るのは中国では吉兆なんだそうです。

 

金:なるほど~、正月に青馬=白馬を見るのは、中国では吉兆とは!

 

吉兆の【青】あり、青馬さんもいるし、祝祭の【感門77】あり、しかも「ラッキー7」でもあり、初物の【全然アート】もあるし、いや~、season09・冬がなんだか急にとってもおめでたいシーズンに思えてきました。考えてみると、この対談の「青」「金」も宝石のような色のコンビですね。

 

青:season09・冬を受ければ、まちがいなく運気上昇しますね〜。

 

金:みなさん、ここはイッパツ、多読ジムで運をつかんでください。青馬さんは【青の本】というとどんな本が思い浮かびますか?

 

青:まず思いつくのは、やっぱりモーリス・メーテルリンク『青い鳥』ノヴァーリス『青い花』山本周五郎『青べか物語』ですね~。あとはロープシン『蒼ざめた馬』とか。僕の名前はこちらが由来と思う人もいるかも。まあでも、さすがに死を乗せた馬を名前につけたりはしないですよね(笑)。

 

作家でいうと、サン=テグジュペリには青のイメージがあります。無論『星の王子さま』の影響が強いでしょうけど、それだけじゃない。新潮文庫『夜間飛行』の表紙も青いし、何よりも空を飛んでいるからでしょう。結局、僕らの青のイメージのおおもとは空と海なんでしょうね。

 

金:『蒼ざめた馬』が名前の由来だったら、むしろ不吉ですね(笑)。

 

サン=テグジュペリの青、ぼくもよくわかります。じっさい、サン=テグジュペリはメーテルリンクの影響を受けているみたいですし、ノヴァーリスの『ザイスの弟子たち』に収録されている「ヒヤシンスとバラ」は、ヒヤシンスという青年が恋人のバラを置きざりにして万物の根源を求めて旅に出るというメールヒェンで「星の王子さま」を思わせます。

 

ノヴァーリスの青というと、志村ふくみさんの染色も思い浮かびます。『夢もまた青し 志村の色と言葉』(河出書房新社)という本もありますね。また、「青い花」といえば、志村貴子の同名の漫画「青い花」があります。いわゆる、”百合もの”、ガール・ミーツ・ガールが主題で魚喃キリコの『BLUE』の流れもくんでいるのではないかと思います。そうそう、山本直樹の『BLUE』も忘れるわけにはいきません。以前、山本さんはDONDEN祭というイベントにゲストでお招きしました。

 

それから「BLUE」といえば、デレク・ジャーマンだ!

 

青:アートの青でパッと目に浮かぶのは、フェルメールの青。もちろん『真珠の耳飾りの少女』もいいんですけど、僕は『牛乳を注ぐ女』の青色が好みです。松岡校長は【全然アート】で、フェルメールを「光の魔法」の使い手として紹介していますが、フェルメールの光の絵画のなかではラピスラズリの青がことさら映えています。

 

アートはもちろん見たり体験したりするものです。でも、【全然アート】を少しでも読むと、アートは読まないとわからないこともたくさんあるんだな、と感じます。ほとんどの美術館にはアートショップが併設されていて、たくさんの本が並んでいますよね。「見る」と「読む」を組み合わせると、理解が深まるという端的な証拠でしょう。【全然アート】はまさにアート理解を深め、アート編集の秘密を紐解く一冊。書店だけでなく、あらゆるアートショップに置いてほしいです。

 

金:多読ジムではブッククエスト、エディション、三冊筋という3つのトレーニングに取り組むわけですが、それぞれテーマをかさねて、つらねて遊ぶ方法もありますよね。とくに今回の「青」と「アート」は重なりやすいかも。【全然アート】でも取り上げられている「青の時代」のパブロ・ピカソカンディンスキーの「青騎士」も青ですね。

 

いやいや、ワンシーズンでいろいろなテーマをつまみたい。「かさねるのはイヤ」という方ももちろんいるだろうと思います。それなら、たとえば「ブルーストッキング」や「青鞜」のフェミニズム「カインド・オブ・ブルー」なマイルスのジャズ『青の物理学――空色の謎をめぐる思索』(岩波書店)ミシュレの『海』(藤原書店)を手にとって、大空大海の歴史やサイエンスを漂ってもいい。朔太郎の「青猫」の弱々しさも、谷崎の「刺青」のフェティッシュも捨てがたい。それに藍、群青、青磁、ラピスラズリ、コバルトブルー、ウルトラマリン、青といってもいろいろあります。

 

青が主題でなくても、たんに表紙が青いというだけでも「青い本」と言っていいんじゃないでしょうか。アイキャッチ画像で泳いでいる三冊のうち、『眼の冒険』(ちくま文庫)はその一例です。「先達文庫 感門77」の一冊ですね。

 

青:こんな時こそ、大音サッショーの「おみくじ処」をお参りするという手もありますよ。

 

金:「おみくじ本」はもともと人気企画ですが、次のシーズンではご利益を求めてさらなる人気を呼びそうですね。新年は「青馬」とサッショーにおまかせ!ってな。

 

この続きははまたseason09・冬で。ここまで、青金コンビでした〜。アディオ〜ス!

 

 

Info


◉多読ジム season09・冬◉

 

∈START
 2022年1月10日(月)~3月27日

  ※申込締切日は2022年1月3日(月)

 

∈MENU
 <1>ブッククエスト(BQ):先達文庫 感門77
 <2>エディション読み   :『全然アート』
 <3>三冊筋プレス     :青の3冊

 

∈URL
 https://es.isis.ne.jp/gym


∈DESIGN the eye-catching image
 穂積晴明

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:水木しげる
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

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