飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

御神木を見上げるように、本棚を見上げる参加者たち。にじり口で佐々木千佳局長と吉井優子師範はぬかりなく名札を手渡す。
お茶出しの林朝恵番匠はカウンターと座席を小走りで行ったり来たり。ナビゲーターの米田奈穂師範代は提灯の下で参加者を出迎える。8月10日(土)、本楼でエディットツアーが開かれた。
大学で図書館職員をしている米田にとって、本に囲まれた空間はホームに近いはずだが、この日はドキドキが止まらなかった。
それもそのはず、自身が師範代を務めた42[守]あやつり近江教室の学衆が夫と小学4年生の娘キキちゃんを連れて参加していたからだ。「責任重大です」と意気込んだ米田は、吉村堅樹林頭からリハーサルで笑顔の特訓まで受けた。
いざスタートすると緊張はどこ吹く風。自身の数寄である「文楽」を生かした編集語りはやわらかくかつ、なめらか。「日本にないもの」をテーマにした編集思考素と本を使ったワークでは、参加者の心を見事にあやつった。
大人たちは「難しい、でも他の人の発想を聞くのは刺激的」と高揚。キキちゃんはスキップするように本選びに走った。
ツアー終了後、多くの参加者が名残惜しそうにその場にとどまり、イシス編集学校に興味を示した。最後まで残ったキキちゃんは「帰りたくない、明日も来る」と椅子から動かぬ程だった。
皆が去った本楼で、米田はホッとした表情でソファに腰掛け、テーブルコーチの吉井や林とツアーを振り返る。が、それもつかの間、林頭と9月のツアー打ち合わせが始まった。ゆるんだ糸は、またピンと張る。
林朝恵
編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。
光を読む、光を撮る。 2025年8月9日、豪徳寺にあるイシス館とオンラインのハイブリッドで倶楽部撮家のメインイベントとなる瞬茶会(ワークショップ)が開催された。倶楽部メンバーは各々、カメラと懐中電灯を持参して集った。この […]
通りを歩けば紫陽花を見かける季節がやってきた。 土の酸性度によって色が変わるこの花は、現在進行形で変化を続ける入伝生の姿にも重なる。 6月になり錬成期間に入った入伝生は師範代になりきって指南を書きまくる日々 […]
写真仲間求む!編集術でカメラと戯れる【倶楽部撮家】が多読アレゴリアにやってきた
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【劇団こまつ座】2度観ても笑撃、井上ひさしの『太鼓たたいて笛ふいて』
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本楼にある黒いソファを移動して、その脇に求龍堂の『千夜千冊』と角川の『千夜千冊エディション』を並べて松岡さんを迎えた。2度目の肺癌で入院する直前の2021年4月初旬、急遽、オンランイベント「千夜千冊の秘密」で語り切れなか […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。