私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

43[破]の合同汁講の時の話である。まだ本楼で汁講が出来ていた頃の話だ。
なぜかその場に、まったく関係のない師範代が来ていた。学衆からすると「あなた、誰?」という話である。聞くと、前日、自分たちの汁講があったという。
「みなさんの汁講に興味があったので、つい」
そんな理由だけで、普通、他の教室の汁講に足を運ばない。
自分の「数奇」に正直で、少しでも興味があれば未知に踏み出すことを微塵も恐れない。労も苦にしない。誰に何と思われようが構わない。まず体を動かしてみる。フラメンコだって踊ってしまう。 14季[離]を退院した直後に、師範代や錬成師範の経験者ながら、今期、47[守]を再受講して卒門。こんなことを平然とやってのけるのも納得だ。
誰であろう、本日の司会者、嶋本昌子さんその人である。
実はジャイアンは、33花伝所で錬成師範としてお世話になっている。愛情たっぷりの指導に、何度泣いたことか。嶋本錬成師範の指導は、喩えるなら「ハグ」だ。ギュッと抱きつかれるので、その幸福感に油断すると窒息するのだが……。
ジャイアンが嶋本錬成師範から学んだことは、その回答を好きになること、学衆を愛することだった。
今の時代、他者を愛することはムズカシイ。ところが嶋本さんは平然とそれをやってのける。なぜできるのか。ずっと疑問だったのだが、今日の司会ぶりでようやく得心した。
「すっかりファンになってしまいました」
この言葉が何度飛び出したことか。隣にいる司会者(至宝)から、「またファンになってしまったんですね」と皮肉を言われても動じない。なぜなら惚れることこそ、嶋本さんのダンゼンだからだ。嶋本さんはその人の「ダンゼン」を瞬時に見つけて、すぐに好きになる。心底、惚れる。きっとこのあと、誰かのために涙するのだろう。
ああ、「全部」を愛する必要はなかったんだ。「部分」を抱きしめればいいんだ。
指南とはこういうことなのか。
嶋本昌子さんの司会から、あらためて指南の基礎を教わった。
……ところで嶋本さん、またハグしてもらえませんか?
角山祥道
編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama
世の中はスコアに溢れている。 小学校に入れば「通知表」という名のスコアを渡される。スポーツも遊びもスコアがつきものだ。勤務評定もスコアなら、楽譜もスコア。健康診断記録や会議の発言録もスコアといえる。私たちのスマホやP […]
スイッチは押せばいい。誰もがわかっている真理だが、得てして内なるスイッチを探し出すのは難しい。結局、見当違いのところを押し続け、いたずらに時が流れる。 4月20日の43期[花伝所]ガイダンスは、いわば、入伝生たちへの […]
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!
この春は、だんぜん映画です! 当クラブ「勝手にアカデミア」はイシス編集学校のアーキタイプである「鎌倉アカデミア」を【多読アレゴリア24冬】で学んで来ましたが、3月3日から始まるシーズン【25春】では、勝手に「映画」に […]
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
[守]では38のお題を回答した。[破]では創文した。[物語講座]では物語を紡いだ。では、[多読アレゴリア]ではいったい何をするのか。 他のクラブのことはいざ知らず、【勝手にアカデミア】では、はとさぶ連衆(読衆の通称) […]
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ
「鎌倉アカデミア」は、イシス編集学校のアーキタイプである。 大塚宏(ロール名:せん師)、原田祥子(同:お勝手)、角山祥道(同:み勝手)の3人は、12月2日に開講する【勝手にアカデミア】の準備を夜な夜な進めながら、その […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。