私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

このたび「遊刊エディスト」にデビューすることになった境踏方師の田母神です。年甲斐もなく、すこし興奮ぎみです。編集の新たなサンクチュアリともいえるこの「エディスト」に来ただけで、自分のなかのピーターパンが、うずうずしてくるのを感じます。
私が海を飛びこえ、ネバーランドからやってきた理由はただ一つ。三千大千世界にも喩うべき松岡正剛の広大な「知」の奥行きを、みなさんに少しでも感じとってもらうこと、そのはるかさと身近さを同時に体験し気づいてもらうことです。
私は、松岡正剛ほど根源的で、世の初めから隠されていることを暴きつづける知者をほかに知りません。しかもこの聖(ひじり)は、知と編集の初心者にさえ一挙に自己革新を起こしてしまえる方法(メソッド)を用意した、革命的な教育者でもあるのです。世界が滅びないために必要なことのすべて、生きるということのほんとうの醍醐味を味わうのに必要なことのすべて、そして何度危機に瀕しても、つねに再生していくために必要なことのすべてを学べる遊の郷(くに)、それがISIS編集学校であり、守・破・離を始めとするすべてのコースなのです。
私は、『維摩経』の世界にも似た松岡ワールドの骨法をみなさんに伝えつつ、さらなる別様可能性を開拓していくつもりです。そのためなら、私はどんな境界でも踏み越えることを厭いません。そもそも「踏む」という行為には、ヒトやモノや土地の潜在的エネルギーをよび覚まし、活性化させるという呪術的効果があるのです。相撲取りが土俵で四股を踏むのもその名残ですし、雨に濡れそぼった桜の花びらを踏むことのなかにも、なにかしら世界を変える成分が含まれているのです。私が書くものを通して、みなさんを、すこしでも原郷や異郷にいざなうことができたなら、私のミッションのいくらかは達せられたことになるでしょう。
では、参ります。まずはいつもの呪文から。そう、「2つ目の角を右に曲がって、それから朝までまっすぐ!」。いよいよ、境踏シアターの幕あけです!
【トップ画像】
ブルターニュ半島モルビアン湾の眺望。「多島海式ネットワークあるいは多島海的運動が、編集エンジンには不可欠だ。それこそが、ネバーランドであり、ミル・プラトーなのである。」(境)
田母神顯二郎
編集的先達:ヴァルター・ベンヤミン。アンリ・ミショー研究を専門とする仏文学の大学教授にして、[離]の境踏方師。ふくしまでのメディア制作やイベント、世界読書奥義伝の火元組方師として、編集的世界観の奥の道を照らし続けている。
三、『ペスト』と時間 IT革命が加速し、AI(人工知能)が人の仕事をどんどん奪うようになっている時代、金さえあれば、民間人でも宇宙飛行が経験できるようになった一方、スマホが生活の主要なアイテムとなり、心や […]
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コメント
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2025-07-03
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2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。