飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

遊刊エディストが、創刊以来5回目の秋を迎えた2023年10月の編集会議で、吉村堅樹編集長の”ないものフィルター”が動いた。
新聞などのメディアにあって遊刊エディストに今ないもの。
それは、“名物コラム”ではないか。リレーコラムをはじめよう。 (吉村堅樹編集長)
こうして、吉村編集長があくなき情熱をかたむけてディレクションするエディストに、新コーナーが加わることになった。リレーコラムの名前は、「遊姿綴箋(ゆうしてんっせん)」である。
「遊姿綴箋」と名付けたのは、遊刊エディストだけに、また松岡正剛校長の『遊』にあやかる意味もあり、
やはり“遊”の文字は必ずいれようと考えていました。
このコラムでは、毎月テーマを決めて、腕のあるライターたちが同じテーマを綴ります。
それぞれが、編集を自在に遊んでいる姿を短いコラムとして綴ってもらいたいんですね。
ただ、言葉の響きは有刺鉄線ですから、ちょっとした毒や棘もあるといい。社会風刺的なものがあってもいいですね。 (吉村堅樹編集長)
メディアにとっての名物コラムは、いわゆる「顔」だ。世の中のテーマをとらえながら、そのメディアの“らしさ”を表現し、人々を楽しませる。ときには問題提起や社会風刺を示すこともあり、大事な役割を担う。イシス編集学校の各種講座を担当する指導陣が綴るエディスト記事が、編集工学を伝える骨のある”社説的コラム”とするなら、「遊姿綴箋」は肩の力を抜いて楽しめる”遊戯的コラム”といったところだろうか。もともと遊戯の字には、いっさいの束縛を脱して自由自在の境地にある、という意味がある。
今回、松岡正剛校長の名作、オブジェマガジン『遊』の文字をとったエディストがはじめる「遊姿綴箋」で執筆を担当するのは、選りすぐりのエディスト・ライターたちだ。編集長の呼びかけに応答し、ユニークなバックグラウンドの書き手たちが集まった。このメンバーが2024年5月まで担当する。
梅澤奈央 さん
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。 イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。
https://edist.ne.jp/author/umezawa/
小倉加奈子 さん
編集的先達:ブライアン・グリーン。病理医で、妻で、二児の母で、天然”じゅんちゃん”の娘、そしてイシス編集学校「析匠」。仕事も生活もイシスもすべて重ねて超加速する編集アスリート。『おしゃべり病理医』シリーズ本の執筆から経産省STEAMライブラリー教材「おしゃべり病理医のMEdit Lab」を開発し、順天堂大学内に「MEdit Lab 順天堂大学STEAM教育研究会」を発足。野望は、編集工学パンデミック。
https://edist.ne.jp/author/ogura/
林 愛 さん
編集的先達:山田詠美。日本語教師として香港に滞在経験もあるエディストライター。いまは主婦として、1歳の娘を編集工学的に観察することが日課になっている。千離衆、未知奥連所属。「多読ジムSP大澤真幸を読む」では冊匠賞を受賞。
https://edist.ne.jp/author/hayashi_ai/
原田淳子 さん
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
https://edist.ne.jp/author/harada_junko/
福田容子 さん
編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。
https://edist.ne.jp/author/fukuda_yoko/
堀江純一 さん
編集的先達:永井均。十離で典離を受賞。近大DONDENでは、徹底した網羅力を活かし、Legendトピアを担当した。かつてマンガ家を目指していたこともある経歴の持主。画力を活かした輪読座の図象では周囲を瞠目させている。エディストでは「まんがのスコア」を担当、50人の作家を模写するシリーズが大好評。
https://edist.ne.jp/author/horie/
マンガのスコア(@Xlq35SgkDIyWXP5)さん / X (twitter.com)
山本春奈 さん
編集的先達:レオ・レオーニ。舌足らずな清潔派にして、万能の編集ガール。定評ある卓抜な要約力と観察力、語学力だけではなく、好奇心溢れる眼で小動物のごとくフロアで機敏な動きも見せる。趣味は温泉採掘とパクチーベランダ菜園。愛称は「はるにゃん」。
https://edist.ne.jp/author/yamamoto/
12月のテーマは「クリスマス」、「遊姿綴箋」は2023年12月8日からスタート、こうご期待。
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
ISIS co-mission対談|「きらめく星座」音楽の力 こまつ座代表井上麻矢×イシス編集学校学長田中優子
こまつ座の舞台「きらめく星座」を巡る、ISIS co-missionの井上麻矢(こまつ座代表 )と田中優子(イシス編集学校学長 )による特別対談がイシスチャンネルで公開されました。 太平洋戦争を舞台に、さま […]
エディットリアリティーの森【松岡正剛 revival 03】
2024年8月12日、イシス編集学校校長の松岡正剛が逝去した。エディスト編集部では、直後に約1カ月にわたる追悼コラム連載を実施。編集学校内外から多数寄せられた松岡校長の面影は、1年経ってもなお鮮明だ。まるでその存在が読む […]
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【プレスリリース】編集工学研究所、「松岡正剛 Re-Edit Project」始動。未公開講義録の集成など、知の再編集プロジェクトを一周忌に発表。
編集工学の創始者・松岡正剛の一周忌を迎える2025年8月12日、編集工学研究所(東京都世田谷区/代表取締役社長 安藤昭子)は、「松岡正剛 Re‑Edit Project」を始動します。このプロジェクトは、松岡が遺した文章 […]
コメント
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2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。