『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。

「言葉の編集があって、声や音曲の編集があって、身体が編集される」。
世阿弥にとっては、どんな語句も連想をつむぎ出しやすいように言語を編集することが重要であった。
今回のイシス20周年記念輪読座は、満を持しての「世阿弥」である。イシス編集学校には「ISIS花伝所」という師範代養成講座がある。「稽古条々」「時分の花」「離見の見」「却来」「是風が非風を包む」「一調二機三声」。世阿弥の言葉はISIS花伝所のプログラムにも、花伝所を経た師範代の構えにもいきている。世阿弥は、6月に20周年を迎えるイシスにふさわしいテーマなのだ。
紡いだ言葉から手振り・身振りがおこる。イメージ連鎖の編集、それを世阿弥は「懸り」という。これが身体を編集していく。そのような言葉の編集が「謡(うたい)」になっていく。
輪読師のバジラ高橋曰く、「世阿弥はヴィトゲンシュタインなんて、とっくに超えている」。世阿弥は劇作や言語編集だけがすごいわけではない。観世座の棟梁であり、足利義満・義持・義教の三将軍の大変動する80余年間を生き抜き、思索を広げ、向上させ続けていた。世阿弥の芸論からは、現代に生きる我々にとっても独自な経営論、組織論、人生論、社会変動に対する自立的精神論を学ぶことができる。
今回の輪読座では、1ヶ月目に『風姿花伝』を読み切り、『花鏡』を2ヶ月に分けて読み切り、『申楽談義』の要所を2ヶ月で輪読する。最終の6ヶ月目には佐渡に流された世阿弥が、佐渡に至る旅を7編の「謡(うたい)」(曲舞:くせまい=久世舞の歌詞)に編集したものを輪読する予定になっている。
なお、今回の輪読座参加者には、バジラ高橋による『風姿花伝』『花鏡』『申楽談義』『金島書』の内容の書き下ろし概説、世阿弥の伝書の内容に合わせて、世阿弥人生81年の物語を合わせた30ページ以上にわたる「バジラ世阿弥解読序説」をPDF資料が提供される予定になっている。
イシス20周年記念輪読座「世阿弥を読む」は現在参加申し込みを受け付け中。コロナで外出自粛の中でもネットで受講できるサテライト輪読座も用意されている。第一回は4月26日にスタートする。
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吉村堅樹
僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。
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コメント
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