発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年春シーズンは、同校の映画科をもどき、卒業生・鈴木清順の方法を共読した。ではいったい「鈴木清順」とは?
松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。今回は、『鈴木清順エッセイコレクション』(ちくま文庫)を【勝手にアカデミア】のはとさぶ連衆(受講生)4人で読み解きたい。
●●●【勝手にアカデミア】による『鈴木清順エッセイコレクション』×3× REVIEWS
●1 撮る清順、書く清順
ゆき あめ かぜ
Ⅰ 日記から/縄張り/犬の顔をした水鬼
Ⅱ 路地は相変わらず静かだった……/生れたとしが大震災/東京語と地方語/味/あだ花/洋パンと『野良犬』と自動小銃
Ⅲ たった一人の戦争/廃墟/敗戦の日/わがナチ体験――ベルリンの英雄/『悲愁』以降/戦争映画と女の顔
なぜ映画監督・鈴木清順は膨大なエッセイを残したのか。清順は何を言葉にしようとしたのか。
●2 矜持を手に、街に出よ
Ⅳ アナキストは誰だ!/夏と暴力/花/流れ者/ある旅人の試行錯誤――思考と感覚/暴力探しにまちへ出る
Ⅴ わたしと就職/桜の樹の下の砂漠/暗い青春の記念碑/フィルムは滅びてこそ/わが落した魂よ!/大映・日活映画の黄昏/料理/滅亡的脱コマーシャル論
鈴木清順は、世間を覆っている薄い膜をベリベリと引き剥がす。そこから顔を覗かせたものに、清順は人間の本質を見ていた。
●3 清順美学という方法
Ⅵ ゆったりした気分/小百合・良子・由美子ともう一人の女優/『陽炎座』の頃/教祖さまは出べそでなければならない/畏友美術監督――木村威夫さん/交攻の五人
Ⅶ 色/花を摘むのは女であり虫を殺すのは男である/萩は恋を失ったまち/袖/恋愛/役者/温泉芸者恋慕の記
Ⅷ 大正エレジー/のり物づくし/騒氏断片、或いは林静一への片思い/竜宮で貰った「聴く耳」/本はみるものである/秘色――色と恐怖
清順の追求した「美」とは何か――。
『鈴木清順エッセイコレクション』
四方田犬彦編/ちくま文庫/2010年8月/1500円(税別)
■目次
ゆき あめ かぜ
Ⅰ 日記から/縄張り/犬の顔をした水鬼
Ⅱ 路地は相変わらず静かだった……/生れたとしが大震災/東京語と地方語/味/あだ花/洋パンと『野良犬』と自動小銃
Ⅲ たった一人の戦争/廃墟/敗戦の日/わがナチ体験――ベルリンの英雄/『悲愁』以降/戦争映画と女の顔Ⅳ アナキストは誰だ!/夏と暴力/花/流れ者/ある旅人の試行錯誤――思考と感覚/暴力探しにまちへ出る
Ⅴ わたしと就職/桜の樹の下の砂漠/暗い青春の記念碑/フィルムは滅びてこそ/わが落した魂よ!/大映・日活映画の黄昏/料理/滅亡的脱コマーシャル論Ⅵ ゆったりした気分/小百合・良子・由美子ともう一人の女優/『陽炎座』の頃/教祖さまは出べそでなければならない/畏友美術監督――木村威夫さん/交攻の五人
Ⅶ 色/花を摘むのは女であり虫を殺すのは男である/萩は恋を失ったまち/袖/恋愛/役者/温泉芸者恋慕の記
Ⅷ 大正エレジー/のり物づくし/騒氏断片、或いは林静一への片思い/竜宮で貰った「聴く耳」/本はみるものである/秘色――色と恐怖略年譜/改題 四方田犬彦/出典
■多読アレゴリア【勝手にアカデミア】がお送りする書評記事第二弾はいかがだったでしょうか。当クラブは、鎌倉吟行や映画鑑賞&雑談会など体験重視。さらに、こんなふうに遊刊エディストで記者デビューも。プロのライターの指導入りなので誰でも大丈夫。「文章術」も身につけられるのが【勝手にアカデミア】の特徴です。25夏シーズンの入会、お待ちしております。(せん師・大塚宏)
●「勝手にアカデミア」をもっと知るには●
○3× REVIEWS(三分割書評)
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
○吟行レポ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】はとさぶ連衆、鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
○クラブ紹介
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア①】勝手にトポスで遊び尽くす
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!(25春)
◆Info 多読アレゴリア2025夏
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025summer
*多読アレゴリア2024春から継続の方は申し込み手続きは不要です。
【開講期間】2025年2025年6月2日(月)~8月24日(日)
【申込締切】2025年5月26日(月)
【定員】20名(勝手にアカデミア)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025夏申し込みの場合
購入時に2025年6月分を決済
2025年6月26日に2025年7月分、以後継続
・2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
・1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
募集開始★多読アレゴリア 2025・夏スタート!!!!!!!
▼倶楽部撮家
写真仲間求む!編集術でカメラと戯れる【倶楽部撮家】が多読アレゴリアにやってきた
▼カオス的編Rec
津田一郎監修クラブ【カオス的編Rec】誕生!科学的読書法に学び、「Qの地図」を描く
▼勝手にアカデミア
『鈴木清順エッセイコレクション』x3xREVIEWS
勝手にアカデミア
編集的先達:三枝博音。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】は、鎌倉に生まれた伝説の学校「鎌倉アカデミア」をもどきながら、トポスにトピカ、映画に産業、文学に演劇……などなど勝手に学び、勝手に語らい、勝手に創出する。
夏、高見順の『敗戦日記』を読む【勝手にアカデミア/多読アレゴリア】
戦後80年のこの夏、多読アレゴリアのクラブ【勝手にアカデミア】は、高見順の『敗戦日記』を共読します。 「鎌倉アカデミア」は、戦後すぐ、鎌倉に誕生しました。敗戦で「なにもない」中、人々が欲したのは「知」で […]
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。 多 […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。