イスラエルで起こっていることから目をそらすな、ガザの惨劇に目を向けよ、…と言いたいのは山々なのだが、そう、ことは簡単にはいかない。SNS時代の自意識というのか、冷笑系のセルフつっこみとの戦いが待っている。令和の社会派は、なかなか大変なのだ。
夕暮宇宙船『未題』は、pixivサイトでも無料で読めるが、書籍版(『小さき者たちへ』)もアリ。売り上げはパレスチナ支援に充てるとのこと。
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。
仲田恭平さんはある日、松岡正剛のYouTube動画を目にする。その偶然からイシス編集学校に入門した仲田さんは、稽古を楽しむにつれ、やがて「編集の拡張性」に気づき……。
学衆が綴るエッセイ「ISIS wave」。52回目は、仲田さんの壮大な野望を紹介します。
■■インフラと私を編集する
私たちの日常を支える、目に見えないけれど確かな存在があります。お風呂の湯気、コンロの炎、快適な室温を保つエアコン。病院での治療や工場の溶接作業まで。それはガスというインフラです。当たり前すぎて、意識しなければ気づきにくい存在ですが、私の勤める企業はまさにその「当たり前」を担い、地域に根ざした快適な暮らしを提案し、支え続けています。
私が編集工学を学ぶきっかけとなったのは、勤める企業の伝統の積み重ねと、このままではいけない、という危機感の間に生まれた問いからでした。そんな時に、偶然YouTubeで松岡正剛校長の動画に出会い、その言葉に直感的に何かを感じたのです。好奇心に駆られ、『千夜千冊』を読み漁り、イシス編集学校の内容を調べました。そこで私は気づきました。これは正解を求めるものではないのだと。気付きが私の背中を押し、イシス編集学校入門と基本コース[守]の受講を決めました。ネット上で行われる画面越しのお題を介した稽古は、対面を得意としない私には丁度良かった。気がつけば何度も回答を送り、繰り返し挑戦することさえ楽しみに変わり、15週間の[守]の学びに没頭していました。
卒門後、実務はどう変化したのか。その変化はいくつかの思考の転換として現れました。
一つ目は、事業と事業の間に、「他に何ができるか」という思考の仕組みを挟むようになりました。既存の中だけに囚われず、他の可能性を見つけるようにしています。
二つ目は《注意のカーソル》の置き方を変えたことです。自社の利益を中心にしている視線の向きを変え、顧客側からの視線を考えるのです。例えば工具一つ、給湯器一つを提案するにしても、「自社の利益」の《地》を「顧客の満足」に移せば選択肢は変わります。
三つ目は、事業の形を編集稽古《コップは何に使える?》と照らし合わせ、可能性を見出す。用途は限るのも良いのだから広げても良い。例えばガス容器スタンド。置き物で充分、と思いがちな所にいや待てよ、と足を止めて可能性を探ります。それは最早業務をこなすだけではなく、業務そのものを編集していたのです。
▲仲田さんの仕事道具。道具の選び方も「編集可能」だという。
今後は、編集の「型」を事業の一つであるリフォーム計画に組み込みたいと考えています。《ルール・ツール・ロール》を明確に定め、住む人の《地》に立った、円滑かつ美しい「空間の着替え」を実現させたいのです。さらには、企業の在り方も編集し、地域との繋がりをより強固に結びつけていきたい。
ところで、興味深い偶然として、私の勤める企業は『千夜千冊』第1112夜で取り上げられた田中清玄の創業によるものです。この縁にも何か意味があるのではないか、そう考えます。
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
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コメント
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2026-01-08
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2026-01-06
背中に異形のマレビトを背負い、夜な夜なミツバチの巣箱に襲来しては、せっかく集めた蜜を略奪するクロメンガタスズメ。羊たちが静まり返る暗闇の片隅で、たくさんの祭りのニューロンがちかちかと放電し続けている。
2025-12-31
鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。