橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)

戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年夏シーズンは、同校の文学科講師、作家の高見順が昭和20年の1年間を綴った『敗戦日記』にカーソルをあわせた。
1冊の本を3分割して読み解く新しい書評スタイル「3× REVIEWS」。今回は、【勝手にアカデミア】の成果をご覧いただきたい。
●●●【勝手にアカデミア】による高見順『敗戦日記』×3× REVIEWS
●1 いんいんたる砲声響く―昭和20年1~4月の日記
[当時の状況]
1月20日 軍部が本土決戦の作戦大綱を策定。
2月4日 米英ソの三国首脳が戦後処理を密談(ヤルタ会談)。
3月10日 東京大空襲(死者8万4000人)。
4月1日 米軍、沖縄への上陸作戦開始。
●2 空に舞う黒い灰―昭和20年5~8月の日記
[当時の状況]
5月7日 ナチスドイツ、無条件降伏。
6月18日 ひめゆり学徒隊の集団自決。
7月28日 政府はポツダム宣言を黙殺し戦争継続を表明。
8月28日 連合国最高司令官マッカーサーが厚木に到着。
●3 恥辱と焦燥―昭和20年9~12月の日記
[当時の状況]
9月20日 児童らが墨で教科書を塗りつぶす。
10月9日 GHQ(連合国総司令部)、新聞の検閲開始。
11月23日 プロ野球東西対抗戦(プロ野球の復活)。
12月10日 『リンゴの歌』がラジオから流れる。
『敗戦日記』高見順/中公文庫/1190円(+税)
●高見順(たかみ・じゅん) 明治40年、福井県生まれ。小説家、詩人。東京帝国大学英文科在学中から小説や評論を発表。『故旧忘れ得べき』が第1回芥川賞候補となり一躍文壇の注目を浴びる。戦中は陸軍報道班としてビルマ(ミャンマー)、中国に派遣される。『敗戦日記』は中国から帰国後すぐの昭和20年1月から12月まで、北鎌倉の地で書かれたもの。戦後は鎌倉アカデミア文学科の講師も務めた。晩年は日本ペンクラブや日本近代文学館の設立に尽力。享年58。
編集・アイキャッチ/み勝手(角山祥道)
●【勝手にアカデミア】をもっと知るには●
○3× REVIEWS(三分割書評)
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
○吟行レポ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】はとさぶ連衆、鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
○クラブ紹介
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア①】勝手にトポスで遊び尽くす
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!(25春)
多読アレゴリア2025秋 【勝手にアカデミア】
【運営メンバー】播種:大塚宏(せん師)、原田祥子(お勝手)、角山祥道(み勝手)
【開講期間】2025年9月1日(月)~12月21日(日) ★16週間
【URL】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025autumn
【定員】20名(勝手にアカデミア)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込) ※ クレジット払いのみ
【2クラブ以上お申し込みされる場合】2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。お申込詳細はショップカートにて。
勝手にアカデミア
編集的先達:三枝博音。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】は、鎌倉に生まれた伝説の学校「鎌倉アカデミア」をもどきながら、トポスにトピカ、映画に産業、文学に演劇……などなど勝手に学び、勝手に語らい、勝手に創出する。
夏、高見順の『敗戦日記』を読む【勝手にアカデミア/多読アレゴリア】
戦後80年のこの夏、多読アレゴリアのクラブ【勝手にアカデミア】は、高見順の『敗戦日記』を共読します。 「鎌倉アカデミア」は、戦後すぐ、鎌倉に誕生しました。敗戦で「なにもない」中、人々が欲したのは「知」で […]
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年春シーズンは、同校の映画科をもどき、卒業生・鈴木清順の方法を共読した。ではいっ […]
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。 多 […]
コメント
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2025-08-21
橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)
2025-08-19
エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。