宮谷一彦といえば、超絶技巧の旗手として名を馳せた人だが、物語作家としては今ひとつ見くびられていたのではないか。
『とうきょう屠民エレジー』は、都会の片隅でひっそり生きている中年の悲哀を描き切り、とにかくシブイ。劇画の一つの到達点と言えるだろう。一読をおススメしたい(…ところだが、入手困難なのがちょっと残念)。

東京は急に秋めいた。朝晩は肌寒いくらいだ。ちょっと温もりがほしいとき、お茶やカフェオレ、ホットワインで温まるのもいいが「先達文庫」もオススメだ。
55[守]師範代に贈られた先達文庫は計18冊。感門之盟で手渡されるこれら本の贈り物は、4か月の編集稽古を全うした師範代への労いであり、さらなるターゲットへの誘いでもある。指導陣と学林局が師範代ひとりひとりのエディティング・キャラクターを感じながらこれぞという1冊を選書している。しかし師範代だけのものにしておくのはもったいない。秋の心ときめく交際相手として、みなさんも先達文庫とのお付き合いを!
本を読むことは難しくはない。好きに読めばいい。ブックウェアに遊ぶことも誰でも愉しめる。本は付き合っているだけで、心がときめくものなのだ。しかし、本気で本を読むには、文字の奥にうごめくものと出会うべきである。そうすると「見えるようになった声」や「耳に響いていた意味」や「時代に置き忘れてきた語り」に交じり合える。
松岡正剛最新刊『百書繚乱』
石塚智美 師範代 たまさかドリトル教室
『きもの365日』群ようこ/集英社文庫
菅井明子 師範代 ゴリ夢中教室
『円 劉慈欣短篇集』劉慈欣(リウ・ツーシン)/ハヤカワ文庫
畑本浩伸 師範代 つきもの三昧教室
『暗黒のメルヘン』澁澤 龍彦/河出文庫
田中志穂 師範代 山派レオモード教室
『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ/ハヤカワepi文庫
稲森久純 師範代 マグロワンダフル教室
『愉しい学問』フリードリヒ・ニーチェ/講談社学術文庫
加藤万季 師範代 インプロ宝珠教室
『エジプト神イシスとオシリスの伝説について』プルタルコス/岩波文庫
石田利枝子 師範代 斜線オテンバ教室
『精選女性随筆集 白洲正子』白洲正子/小池真理子選 文春文庫
長池直之 師範代 連環フィリア教室
『あなたが子どもだったころ』河合隼雄 中公文庫
加藤則江 師範代 カエル・スイッチ教室
『日本仏教再入門』末木文美士編 講談社文庫
藤井一史 師範代 うたしろ律走教室
『ほんものの魔法使』ポール・ギャリコ 創元推理文庫
田中優子 師範代 酒上夕魚斎教室
『古典の継承者たち』L.D. レノルズ ちくま文庫
辻志穂 師範代 ヤキノリ微塵教室
『誰かに話したくなる キノコの不思議な世界』大海淳 ビジュアルだいわ文庫
佐藤賢 師範代抜力一の糸教室
『三島由紀夫レター教室』三島由紀夫 ちくま文庫
三國紹恵 師範代 花相コロニー教室
『中動態の世界 意志と責任の考古学』國分功一郎 新潮文庫
渋江徹 師範代 かけはしヒコーキ教室
『哲学入門』佐藤優 角川ソフィア文庫
田中志歩 師範代 異遊トラベルソ教室
『台湾生まれ 日本語育ち』温又柔 白水Uブックス
松山香織 師範代 類想ゼスト教室
『挑発する少女小説』 斉藤美奈子 河出文庫
山下雅弘 師範代 百禁タイムズ教室
『負け組のメディア史 天下無敵 野依秀市伝』佐藤卓己/岩波現代文庫
先達文庫には田中優子学長と鈴木康代学匠の手書きメッセージも添えられている
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
10匹の出世魚、ただいま誕生!55[破]出世魚教室名発表【89感門】
イシスの魚はマグロだけじゃない。カワル、メトード、ほたほた・・・ふしぎな魚が泳いでいる。 [守]師範代から[破]師範代へかわるとき、EDITされる教室名を”出世魚”という。55[破]に遊撃する10匹の出世魚 […]
【参加者募集】とっておきのお茶×読書×編集体験!9/13「本楼共茶会」コールドブリューベリーモヒート茶篇
9月13日(土)、松岡正剛プロデュースのブックサロンスペース「本楼」にて、お茶×読書×編集で参加者のみなさまを意外な世界へお連れする「本楼共茶会」(ほんろうともちゃかい)を開催します。7度目となる今回は「コールドブリュー […]
本楼の躙り口近くに松岡正剛校長の提灯が下がっている。チェ・ゲバラを擬いたものだ。ゲリラは毎日が未知の連続。何が起こるか分からない。だからこそ「常に編集を起こしている」存在とも言える。松岡校長が20世紀最後に記した千夜千冊 […]
さあ、お待たせしました!感門之盟のクライマックス「冠界式」のお時間です。新師範代たちの教室名がついに明かされます。発表の瞬間、どんなリアクションをするのか。どうぞお楽しみください!! 家村吏慧子 師範代 ハ […]
読書のキッカケは突然だ。ネットや書店で見て、誰かに薦められて、あるいは「師範選書」を知って。 イシス花伝所で2期以上指導を担った者へ贈られる師範選書。今季はこの一冊が贈られた。 『アナーキスト […]
コメント
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2025-09-18
宮谷一彦といえば、超絶技巧の旗手として名を馳せた人だが、物語作家としては今ひとつ見くびられていたのではないか。
『とうきょう屠民エレジー』は、都会の片隅でひっそり生きている中年の悲哀を描き切り、とにかくシブイ。劇画の一つの到達点と言えるだろう。一読をおススメしたい(…ところだが、入手困難なのがちょっと残念)。
2025-09-16
「忌まわしさ」という文化的なベールの向こう側では、アーティスト顔負けの職人技をふるう蟲たちが、無垢なカーソルの訪れを待っていてくれる。
このゲホウグモには、別口の超能力もあるけれど、それはまたの機会に。
2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。